神奈川図書館

天職

 学校司書になった時に迷わず浮かんだ。誰かが使う言葉ではなく「私の物」として使えるこの贅沢さ。
 幼稚園へ上がる前から本を読み始め、小学校では背伸びし戦争と平和に手を出し、中学でサリンジャーに会う。高校では図書館の詩集を読破する一方高橋和巳に傾倒し父を心配させる。
 本が無い生活は過去も今も考えられない。只、この趣向がまさか仕事になることは正直考えていなかった。
 なりたい職業は幼い頃から教師。塾の先生も経験するがやはり学校とは大きく異なる世界だ。持っている教員免許の出番はなかったが学校司書として長い時間を送ることになる。
 今振り返ると、教員であれば限定した自分の教科を教えるに留まりがちなところを私はあらゆる本を通して児童、生徒に教科を越えた世界の広さを伝えられた。この自由度は結果としては良かったのだと納得する。
 好きなことを生業に出来る人は全体の一部だ。この幸運を感謝し、一旦退職するも何らかの形でいずれ社会貢献に戻りたい。
*神奈川図書館

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?