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エリンザネタント(バイエル)

今回はコチラのニュースのエリンザネタントを掘って調査してみます!


作用機序と概要

エリンザネタントは、閉経に伴う更年期症状、特にホットフラッシュの治療を目的として開発された新しい医薬品です。その作用機序は、脳内の特定の受容体に関連します。

ターゲットはニューロキニン受容体

エリンザネタントはニューロキニン1(NK1)受容体およびニューロキニン3(NK3)受容体の拮抗剤として機能します。これらの受容体はタキキニン受容体ファミリーの一部であり、生殖ホルモン分泌の調節を含むさまざまな生理的過程に関与しています。

視床下部ニューロンの調節 

この薬は、脳の視床下部にあるエストロゲン感受性ニューロン群 (KNDy ニューロン) に特異的に作用し調整します。

閉経期にはエストロゲンが不足することが一般的で、これらのニューロンが過剰に活性化します。エリンザネタントが過剰に活性化したニューロンを調整することにより、閉経女性の体温調節メカニズムの乱れが改善され、ホットフラッシュが軽減されます。

NK1受容体とNK3受容体の働き

両方とも人間の体内で重要な役割を果たす受容体ですが、それぞれの役割と機能には特徴的な違いがあります。

NK1受容体

NK1受容体は、中枢神経系および末梢神経系のニューロン、免疫細胞、内分泌腺、外分泌腺、平滑筋など多様な組織に存在します。

このため痛覚、神経原性炎症、情動、報酬系など広範囲な生理機能に関与しています。

面白いのが、NK1受容体拮抗薬は中枢神経系における嘔吐反射の活性化に関与する最終的伝達経路を阻害する作用を持つことが示唆されているそうです。

NK3受容体

こちらは、特に視床下部-下垂体-性腺軸(HPG軸)において重要な役割を果たしています。

視床下部でゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)の分泌を調節する重要な役割を持ち、HPG軸の主要な調節者として作用します。

(※HPG軸(視床下部-下垂体-性腺軸)は、生殖内分泌系の重要な制御システム。視床下部からGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)が分泌され、これが脳下垂体から性腺を刺激するホルモン(LHやFSHなど)の放出を調節する。)

  更年期のホットフラッシュターゲットの本体はNK3受容体みたいですね。予想ですが、ホットフラッシュには吐き気もあるそうなので、そこでNK1受容体の作用が効いてくるのかもしれません。

エリンザネタントとフェゾリネタントの違い

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