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婦人世界 現代結婚號

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大正8年の婦人世界。現代結婚號に惹かれて購入しました。表紙は鈴木憲子「待たるる日」。左手薬指に指環を嵌める仕草。雑誌の裏はクラブ白粉の広告。しかも、当時の人気芸妓「さかえさん」の写真が使用されています。私はさかえさんの容姿が好みなので、重ねて嬉しい広告です。


目次

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結婚號なので、縁起物の鴛鴦と扇の挿絵。目次に目を通すと、結婚生活の現状や疑問などが網羅された内容だということが分かります。婦人世界は女性が主な読者なので、特に若い女性には「現代の若い男はどんな妻を望むのか」はちょっと気になる項目ではないでしょうか。


口絵

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星川清雄「婚約の人」。左手薬指の指環に目が向くように描かれています。結婚話とは逸れますが、女性の着物と帯模様が大胆でモダンである点が気にまります。絵だけでは判断しかねますが、大正8年は景気がまだ安定していた頃なので、こういった大胆な模様が作られていました。1920年代後半をも彷彿とさせる模様ですが、半襟には源氏車文らしきモチーフも見られ、古典要素も取り入れられているようです。不景気になると大胆さよりも、安定した古典模様が好まれていました。


各地の花嫁姿

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現代では、こういった違いはほぼ見られないのではないでしょうか。

右の女性は、福島県郡山町付近の花嫁姿です。髪は天神髷といって、大正以前から当時まで当日は必ずこれを結び、翌日は島田か丸髷に結びます。曲げは二寸(約6cm)くらい上がったところで折り、根本に紅白の丈長を結びかけ、折ったところへ水引をかけ、毛先を二つに分けた銀杏返しのように取ります。鼈甲の角笄をさし、赤の手柄を輪にかけます。笄は鯨尺一尺(約30cm)くらいのもの、櫛は五寸幅(約15cm)くらいのもを用います。

左は、八丈島の花嫁姿です。丸髷に結うて花笄をさし、赤の手柄を太く掛けます、花かんざしや根がけは島田に用いるものと同様です。


大正8年の男女が望むパートナー像

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15人の男性による理想の妻像が述べられています。様々な意見があると思いきや、どの男性も奥床しく控えめな女性を求める傾向にあります。あくまで一部の意見ですが、新しい価値観が生まれた1920年代の西洋でも、女性に対して保守的な男性も少なくありませんでした。

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11人の女性による理想の夫像です。ここで意見を述べている女性に限りますが、求めている内容が似ています。男らしい、家庭的、優しい人が理想であると答えている人が多いです。中には、喫煙者は嫌、野暮なのは嫌、大酒呑みは嫌…なんて人もおり、現代の女性が求める理想像とたいして変わらないかもしれません。


中流家庭の嫁入支度にかかる費用

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三越呉服通信部による中流家庭の嫁入支度一覧。大正8年の1,600円は、現代だと約250万円。式服から不断着、装飾品、身の回りの小道具まで一式揃えるのが大変そうです。着物などは嫁入り前の早い段階から、良い反物が入手できると少しずつ揃えていたと戦前の本で読んだ記憶があります。近所に嫁入り道具が豪華な家があると、婚礼の日に近所の人達が見に来ていたとか。中流階級でこの費用ならば、上流階級はいくらかかっていたのか気になります。


漫畫「胎教の祟」

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おまけの漫画。東京府の大坪幸子さんという方が考案者のようで、読んだ通りの内容です。