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古いモノ好きの日常

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日常の他愛もない出来事、考え事などを綴ったものをまとめています。過去の記事もおりおり更新しています。
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#大正時代

副業で古物屋を開業

古物屋開業のきっかけ去年の6月から古物屋を始めてみました。独立とか店を構えるなんて大層なことではなく、単にネットショップや骨董市で購入した余りを手放したいと考えたからです。 私は趣味で日本陶器會社等の食器を収集しています。フルセットで購入すると、お皿は5、6枚、カップ&ソーサーはセットで6客に加えポット、シュガーポット、クリーマー、お盆と購入点数が多くなることが度々あります。 使用目的で購入しているため、ほんの数点を所有していれば満足なわけです。それに収納場所の確保も難しく、

大正恋愛事件-蜉蝣のような果敢なさ-

『女性』四月特別號(昭和二年)にて特集された「大正年間の七大戀愛事件」。題のごとく七件の恋愛事件が紹介され、現在でも広く知られている話が取り上げられています。人は噂の奴隷と言いますように、センセーショナルな内容に多くの人が関心を寄せたことでしょう。 七大恋愛事件の中で特に哀れなのは、有島武郎と波多野秋子の心中事件です。現在もこの事件を取り上げている記事は数多くあるので、ほとんどの方が知っていると思います。なので現在の考察ではなく、昭和二年からほんの数年前に起きた事件を『女性』

しばしのお別れ 江戸東京博物館その3

大正・昭和初期江戸情緒の名残を惜しみながら、近代化していく東京を見ていきます。 明治から大正・昭和へ 大正に入ると、東京に帝都としてふさわしい威容を与えた建築群が次々に登場します。1914年(大正3)起工以来7年の歳月を費やした東京駅が完成し、12月18日に開業式が行われました。その後も大戦景気により、丸ビル、帝国ホテル、三菱銀行本店、東京会館がいずれも1922年(大正11)に完成。 こうして東京の景観は大きく変わろうとし、これに対応する国の施策として、1920年(大正9

紳士と流行-明治・大正期の紳士Ⅱ-

前回からの続きで第二部紳士と流行について考察を進めていきます。 1.紳士と流行第一部では明治・大正期の日本における「紳士」という概念が、理想像としての紳士を目指し、努力によって達成可能なものだと考えられていたことを確認した。これを証明するような現象が当時の三越などの百貨店で起きていた。それを確認していこう。 明治末に新中間層が都市に流入し、彼らは工場労働者や会社員になっていく。中でもホワイトカラーと呼ばれる会社員は新しい都市の消費文化の担い手となる。都会特有の現象として匿

紳士と流行 -明治・大正期の紳士Ⅰ-

なぜ紳士と流行か紳士という言葉は今の日本ではどんな意味、ニュアンスで使われているだろうか。一定以上の裕福さと社会的地位、ある種の規範にしたが身なりの立派さ、ある種の道徳性(暴力的でない、粗野でない)といった意味内容が主であると思われる。これらの内容は、歴史上の「紳士」という存在・概念にどのくらい根差しているものなのだろうか。 また、他方では、紳士という言葉は今日(「紳士服」という言葉もある通り)男性一般の丁寧な呼び名になりうるほどに一般性をもった概念になっている。特定のカテ

大正バスケットのお手入れ

藤のバスケット。通称大正バスケットは、その名の通り大正時代に大流行したハイカラな携帯用旅行鞄です。着物で旅行する時に使用しています。2個とも川越骨董市で購入。入手当初は手入れが必要な状態だったので、購入先の骨董屋さんに手入れ方法を教えて頂きました。長く大切に使用するには手入れが欠かせません。自分なりに楽しみながら実践した手入れを綴ってみようと思います。 お手入れ道具霧吹き 豚毛ブラシ2本(汚れを落とす用、油とラノリンを塗布する用) 植物油(オリーブオイル、荏胡麻油、椿油

PR誌「三越」

大正6年6月発行のPR誌「三越」です。表紙は三越嘱託専属の杉浦非水によるもの。明治後半から昭和初期まで、数多くの表紙を手掛けています。 三越呉服店のPR誌明治32年1月、三越の前身三井呉服店は日本で初めてとなる商業PR誌「花ごろも」を刊行。同年に通信販売も開始。その後、明治32年6月に「夏衣」、明治33年1月に「春模様」、明治33年6月に「夏模様」、明治34年1月に「氷面鏡」、明治36年11月に「みやこぶり」と都度タイトルが変わりながら刊行されてました。当時のPR誌は、上流

婦人世界 現代結婚號

大正8年の婦人世界。現代結婚號に惹かれて購入しました。表紙は鈴木憲子「待たるる日」。左手薬指に指環を嵌める仕草。雑誌の裏はクラブ白粉の広告。しかも、当時の人気芸妓「さかえさん」の写真が使用されています。私はさかえさんの容姿が好みなので、重ねて嬉しい広告です。 目次結婚號なので、縁起物の鴛鴦と扇の挿絵。目次に目を通すと、結婚生活の現状や疑問などが網羅された内容だということが分かります。婦人世界は女性が主な読者なので、特に若い女性には「現代の若い男はどんな妻を望むのか」はちょっ