★《続・読書余論》Jim Fitzpatrick 著『The Bicycle in Wartime』1998初版・ほか

 こんかいの《続・読書余論》は、軍用自転車関係の文献特集です。なぜそんなテーマを調べる必要があるのか?
 今、足漕ぎ式自転車も、内燃機関付きの自動二輪車も、進化の終末にさしかかっています。「電動化」「ロボット化」という枝分かれが始まっている一方では、普通のオートバイも非電動の自転車も、多様化や飛躍的な機能向上が見られず、袋小路に停滞しています。これは生物学的には、絶滅の前兆です。
 このようなとき、進化の階梯をいったん、2段階も3段階も退化させ、そこからまた「進化のやりなおし」を実験もしくは空想いたしますと、思わぬ新機軸を発見したり、誰も考えもしなかった交通輸送機械が爆誕する可能性がある。
 それで、私の頭の中を整理したいと思い、このような摘録集を作ってみました。
 ちなみに自動二輪車を「始祖鳥」まで退化させても、19世紀の「ドライジーネ」までしか遡りません。まだ2世紀しか経っていないわけです。奇しくもそれは「鉄道」と同じです。
 じつは鉄道と自転車には共通点があります。自然界や天然生物をいくら観察しても、システムとしての鉄道や自転車を思いつくことは、できません。古代エジプト人もギリシャ人も、ルネサンスの天才たちも、誰ひとり考えつかなかったほどの、奇想天外な二大発明なのです。

 以下の文献も併せて摘録しました。
 『宮田製作所七十年史』『50の名車とアイテムで知る 図説 自転車の歴史』『自転車の一世紀――日本自転車産業史』『シンガポール攻略』『シンガポール総攻撃――近衛歩兵第五連隊電撃戦記』『戦史叢書 マレー進攻作戦』……等々。

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