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裏裏ひよこ日記。パーティーのその後で

ひよこのアカデミー時代からの友人、アレックスとアナイスの婚約をサプライズでお祝いするため、ひよこは仕事の傍ら準備をしていた。花屋にオーダー、パティスリーに自分がデザインしたスケッチを持ち込んでこういうケーキはオーダーできますか?とか。
友人たちとこっそりとプレゼントの用意、アカデミー時代から今に至るまでの写真をテオに頼んでパソコンに取り込んでソフトでキャプションをつけて短いショートフィルムに仕上げたり。驚いたのはSNSで見つけた紙の専門店と活版印刷をしているデザイン事務所にメールで何度も打ち合わせしてこだわりまくってパーティーカードまで作った事だった。

あの締め切り直前の仕事をいくつも抱えた状況の中、毎日こつこつみんながハッピーな時間を過ごせるようにと頑張っていたらしい。

ホームパーティーがはじまる。

家に到着した面々はぴかぴかに磨き上げられた家の中とたくさんの花達におおっ!となり、準備に時間をかけた家庭料理にわいわい賑やかに舌鼓をうち、話をしながら食後のデザートにしようかとまったり過ごした後にサプライズタイムが始まり、ショートフィルムがプロジェクターに映し出されてアナイスとアレックスが驚いているさなかにひよこがうやうやしくワゴンで運んできたケーキに目を丸くしていた。

婚約おめでとう!!皆が口々に叫んでクラッカーを鳴らす。

花束とプレゼントをミシェルとマリが持っている。

ほんとうにおめでとう。私達すごく嬉しい。


アナイスもアレックスも泣いていた。

ありがとうほんとうに嬉しい。

アレックスはひよこに
ほんとひよ…マジでありがとう。
その後にオレをみていきなり抱きついた。


フレッドさん。
マジでありがとう。こんなにしてもらって。

おめでとう。末永く幸せにな。

オレ、フレッドさんたちのセレモニーするのめっちゃ楽しみにしてるから。

…はい?

そうだよ。いつすんだよ?

いつなの?楽しみにしてるんだけど。

突然矛先が変わりだした。

え、オレはなにも…

ひよは?ひよはどうなんだよ?

ん?なに?

キッチンに追加の食器を取りにいっていたひよこはいきなりはじまったセレモニーはいつか?という話の意味がわからないらしい。

セレモニー?だれの?

ひよたちだよ!

はい?

ひよこはオレをチラとみた

しゃべったの?
いいや。口外してない。
わたしも

というアイコンタクトを交わした

なのになんでそうなっている?

話が飛躍していないか?

えー?だってなんか去年のクリスマス休暇終わりから2人なんか雰囲気ちがくない?

そー、それ。それ俺らも思ってた。

ケーキを頬張りながらギヨームが煽る

気のせいじゃないのか?

とぼけるオレ。

いやいやいや。

そんな報告するような事ないぞ?

ところでアレックスとアナイスは家とかどうするの?

とテオが助け舟を出してくれた。っぽい

あー、今探し中。なかなかコレってのがなくてさ。

仕事が不規則だろ?夜勤とかもあるし。
だから会社の近くがいいんだけどさ。
今、空きがないんだわ。


あー、そうなんだ

んじゃ俺等も探してみるわ。

ケーキは大成功でシンプルだけど甘酸っぱいフランボワーズソースと少し重ためなチョコレートムースがいいアクセントになりいくらでも食べられそうなそんなケーキだった。

え、これどこの?
ミシェルがひよに話しかけてる

これ?オーダーしたの。

マジ?ひよすごい!どこでみつけたの?

取引先の人たちに美味しくてオーダーに応えてくれそうなお店しりませんか?って片っ端から聞いて回ったんだ

ええっ!そうなんだ。ひよグッジョブ!!

やぱ美味しいのたべたいじゃん、お祝いごとだし、リクエストに応えてくれる優しいパティシエさんがいいなって。

ひゃー、ひよ。あんたすごい!
よかったね!アナイス!

うん。すごい美味しい。ディナーも何もかも至れり尽くせりで。わたし幸せ。

ディナーはフレッドが作ったんだよ!

うわあやばい。すごいフレッドさん。

よかった。ちょっと張り切っちゃった。

ケーキを食べながら少し顔を赤らめたひよこが答える。

聞いてるなんかオレが誇らしい気分

パーティーは深夜まで続き、ゲストルームは女性陣に開放した。

朝まで積もる話をどうぞ。

お菓子もお酒もたっぷり用意してるので
女子会にはうってつけだろう。

ヤロー共はこれからまだまだ飲み明かすのでリビングで騒いでいる。

こういう感じはじめてだな。
ひよこの友達が自分の友人にもなるなんて。

他のメンツがゲームでぎゃあぎゃあ騒いでる中テーブルで一人飲んでるテオが手招きしてきた。

どうした?

いや。幸せそうだなと思ったよね。

ああ、あの2人だろ。

フレッドさんたちのこと言ってるの。

テキーラをショットで飲み始めたテオが話しだした。

で?

で?

指輪どこ?

そんなものはない。

ウソだね。

マンネちゃん。

は?

マンネちゃん。俺のいもーととの話を聞こうかな。

お前の妹?いつから?

て、実際そうかもしれないじゃん。一回くらい可能性はなきにしもあらず。あんだけ転生してたらさ。あるかもしんないじゃん?

なんだそれ。

…そんな転生してんの?

すごい数だぞ。

へえ。

ねー指輪みしてよ。

だからないって

あるじゃん

は?

物質的には何もはめられていない指を指しながらテオはなおもそこをじいっと見つめる。

こりゃめでてーな。

なんだかよくわからない。

聞くけど、どこまで見える?

知りたい?

興味はあるな。

そこ。もう嵌まってるよ?指輪。

は?

ないけど?

あるって。

わかるのか?

すごくきれいだね。

オレには全くみえない。

絆の指輪かあ。キレイだなー。

いやだから見えないし。

みたい?

そりゃまあ。みれるもんなら?

そっか。そりゃそうだよな。じゃ、一瞬ね。

目がチカチカっとした。

これでわかるかな?

ないはずのそれがあった。

な、これ?

瞬間みえてしばらくしたのちみえなくなった。

フレッドさんはさ。

うん?

果報者だね

ああ…そうだな。


見えちゃうと横取りしたくなるやつがいるから見えないようにしてるんだね。粋な図らいするなあ。

??

横取り?

魂の一部なんだからそれ。横取りされたらやばいっしょ?

言っている意味がわからないんだが。

ある意味ふつーに結婚したとかよりすごいかも。魂の1部を預けられるほどの信頼。オレもめったにみたことないや。


口外しないと約束してくれ。

もちろんさ。

…それ、ひよこにもあるのか?

あるよ。

へえ。

変な事聞くけどいいか?

オッケー

その…
言い淀む。

ああ。ひよはハイブリッドだから心配いらないよ?


ハイブリッド?

うん。ハイブリッド。

なにそれ

だから。あのこはハイブリッドなんだよ。

だからなにとの?

そりゃまあいろいろ混じってるからなんとも言い難いけど。あいつすげえな。成功したんだ。
みれてよかったわ。

??

いや。三億5千年前の自分の実験が成功したんだ。みれてよかった。


は?三億5千年?

ん。


なに?それ…てかおまえ知ってるていつから知ってるんだ?


そりゃ現場にいたからでしょ。

て、実験したのおまえ?

いや。あのこだよ。

ますますわけがわからない。


いいじゃん。次元も時空も時代もなんもかんもすっ飛ばせるくらいふたり絆が固いんだから。誰にも壊せない絆。
羨ましいわ。そんな人なかなかいないよ?


今喋ってるテオがものすごい年齢のいった人に見えてしまって仕方ないんだが。

ああ。そう?

見る人によってはそうかもね。

涼しい顔してショットのグラスを一気飲みする
テオドロスのほんとの姿を見た気がした。

2人テーブルでだまったまま銘々好きな酒をのんでいる。

沈黙が心地よい。



…結婚式呼んでね?



することがあればな。

するさ。必ずね。


いや、もう幸せっていいよなー!

話変わるけどさあ。

ああなに?























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