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ひよこ日記。不機嫌のち、レストラン

書類の提出上、保護者だと機械がエラーで受け付けず、かといって配偶者とかいうのも違うし
どーすんだこれと頭を悩ませ、みーちゃんに言ったらなんでもいいから…あ、そうだなとりあえず婚約者にしとけば?て言われてそうしたら申請書類受付たとか

そんなへんちくりんな話聞いたことない。何なんだその機械。

研修の後、アイツのファンなのか追いかけられてるのか、それとも付き合ってんのかよくわからない女子ーズに取り囲まれてなんか絡まれるのも腹立つ。甘くて重くて媚媚な会社に不向きなむせかえるような香り。そんな香水の使い方してるのもイライラした。TPOどこいった?!

キイイっ!てなっていたらテオから仕事上がりにソッコーメイク直ししろ。オレからのラッキーアドバイスな?とニヤニヤしていわれた。

よくわからないけど気分転換にいっかなと思い、朝の手抜きでほとんどやってないメイクを帰るためだけにしてみたのであった。この際だ、バッチリ仕上げてやるぜ。と乳液でメイクを落としてイチから仕上げた。ベースや、ファンデのサンプルサイズはいつもポーチにいれてる。普段ズボラだけどやるときゃやる。ペーペーでも広報だからと今のとこ出番はないけどポーチにはフルメイクできるくらいには入ってる。

しかしやっぱり無性に腹立つので会社のエントランスでついケンカをふっかけてしまい、ここじゃ話もできないからと冷静なフレッドは気を回してレストランに連れてこられた。

プンスカしているけど
目の前に運ばれてくる料理には罪はない。
それはそれ、これはこれ。で美味しくいただく

はー、もうアントレから美しい。白いお皿に食べ物が芸術的に盛り付けられてる。

アイツはわたしの押さえどころをよく把握してる。くやしい。なんだろう、ひとりでカッカしてるのはもうすぐ月のものが来るから?PMSが激しくてそれでクレアさんの治療を受けているのに。

スープは温すぎず、熱すぎず、塩加減も絶妙で腹を立てていることがバカバカしくなってくるほどなめらかに濾されたクリームスープ

黙々と進むディナー。テーブルの向かいのフレッドは動作が綺麗でどーやってもああは振る舞えない自分がどうにも安っぽく思えて仕方ない。所作すら格が違う。

自分の身のこなしが雑なのが気になる&恥ずかしいので気配を消して食べてた。

…なあ
…はい

オレが悪かった。ごめん。じゃないな、申し訳ない。

…別にいい。

よくないから怒ってるんだろ?

そういうんじゃないってば。後で聞くから。書類のことは。理由があるはずだから。

…他にもなんかあるのか?

今日研修だったの

ちょうどのタイミングでメインが運ばれてくる
肉料理。もうこれ間違いなく美味しいの決定版
フィレステーキにかかったソースの艶々な事といったら!

知ってる。

…ワイン飲んでいい?

…どうぞ。

ウェイターにこれに合うグラスワインの赤をくださいといって持ってきてもらった

すぐに持ってきてくれてグビグビ飲んだら
フレッドはげっ?!て顔した。

たまに飲むワインは美味しい。特にこういう場所で飲むワインは。

すいません、同じもののおかわりください。

かしこまりました

ちょっと呆気に取られた感じのフレッドをチラ見しつつ

研修だったの。

あ、うん。

終わってから女子ーズに取り囲まれたの。あなたのお付き合いしてるらしいグラマラスな香水のきっつい巻髪の女子からいい感じだから邪魔しないで。て釘さされたよね。

…は?

だいっきらいな香水の使い方しててムカついた。

…ちょ、ちょっと待て。なんでそういうハナシになってるんだ?全く心当たりがない上におまえ絡まれたのか?

だっていってたよ。彼といい感じだから邪魔しないで。て。いい感じてどんな感じなのか私にはわからないけど。

はあ、胸のつかえがなんかスッキリした。

肉が冷める、早く食べよ?

…それに怒ってるのか?

絡まれた事に苛ついただけ。

…誓っていうがそんな女知らない。

わかった

メインのおかわりとかしたら顰蹙モノ?

いや、でも、食べたいなら分けてやる。と、フレッドは自分の食べてたのを少し分けてくれた。

うん、美味しい。顔がにやける

むしろオレは食欲が失せた。
はあー…誰だよそれ、全然知らねえっつうの。

こんなに美味しい所なのに?食べようよ?
そんなしょっちゅう来るような所じゃないじゃない?

おまえのそういうそれはそれって所がオレは本当に大好きだ。

ありがとう

ウソじゃないからな。書類、成り行きでそういう手続きになったけど、全然問題ないし、むしろ都合がいい。

あー、便宜上ね?

この際だ、今までも都度言ってきたけど決着をつけよう。

いいけどメイン食べてからにして。

ほんとおまえいい性格してる。と笑いだした

こんなに美味しいのそうそう毎日食べれないじゃない。

別に毎日きてもいいけど?

こういうのって特別な時に食べるから特別美味しいんじゃない。日常にはしなくていいの。

まあ確かにな。

なので堪能してからにしましょ。

フレッドは私をじっとみたあと食事を再びはじめた。

いや、わかってます。最初に不機嫌だったのワタシです。スープで機嫌直したなんて教えたりしないけど。どうせバレてるだろうけど。
チョロいぜとか思われてるかもしれないけど。

メインを食べ終わり、ウェイターがお皿を下げに来てから話始めた。

かなり真面目な話で目が泳ぐ。

紳士は紳士らしくとてもエレガントで文句のつけようがなかった。いちいち考えたりするのやめよう。だって今はそうなんだもん

話が終わると支配人がすうっとやってきた。
ちょっとだけワインであたまがボウッとなっていて話半分にしか聞いてないけどとにかくいきなりクロカンブッシュが来た。

これはお祝い事のデザートよね?
さすがのオレも頼んでないからな?

勘ぐってないし
ならよかった

フレデリック様からお預かりしておりました

ピンクの可愛らしい薔薇の花束

へっ?!

あ…それごめんなさいてやつだったんだ。だけどなんか…なあ?なんだよこれ。締まらねえなあ…あー、だっせぇの…

ふはははっ

笑うなバカ、オレだって予想外だ。

くだらないな俺たち。

うん、ほんとに

ありがとう。ごめんなさいにしてもさっきのあれでもどっちでも。

まあ、そういう訳だからこれからもよろしく。今度ちゃんとしたやつするから、あー、えーと
二人で選びにいこう。

うん

今更だけど死ぬほど恥ずかしい、暑い。汗が出る。

えっ?!そうなの?

当たり前だろ

そうなんだー?へえー!そうなんだー?

からかうな。

へー、へえー、そうなんだ?

ピンクの薔薇の花束が可愛くていい匂い。




















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