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記憶の欠片の物語

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19世紀のロンドン そこに生きてた「HE」のストーリー
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#小説

記憶の欠片の物語7

記憶の欠片の物語7

※書き下ろし

チリンチリンてベルの音がする
眠りの沼から引きずり出された。
結構深く寝たらしい。たった30分くらいだけど

あいつ帰ったのか?シーンとしてる
辺り見回すと床に座り込んで本棚の本よんでた。

トマスがやってきた。床に座り込んで本を読んでる彼を見て小さく首をふった。彼的に行儀が悪いらしい
熱い渋めの紅茶を淹れてくれた。「おまえお茶いらない?」

本から顔もあげずに熱中してる何の本読ん

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記憶の欠片の物語5

記憶の欠片の物語5

わたしと彼が自宅にたどり着いてからしばらくして、ドアを激しくノックする音が聞こえた。

トマスがわたしの所に来た。

「フレデリックさま。おやすみの所申し訳ございませんが、急ぎお会いしたいという若者がみえております。先ほどまで、パブでご一緒だったと申しておりますが、いかがいたしましょう?」

こんな夜更けに誰だ?とおもったが
一人心当たりがあった。

「父上に言いつけてお前らふたりを追放する!」と

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記憶の欠片の物語

記憶の欠片の物語

あいつにはじめて会ったのは論文の発表会だった。

わたしはひどく態度が悪かったらしい

(わたしは態度が悪いなんて微塵も思っていないけど)

あいつは緊張してひどく顔を赤らめて登壇して論文を発表していた。

聞いてるやつらなんているのか?

こいつの話を。顔を赤らめ、ひどく真面目に
訛りがでないように緊張しながら自分の論文を発表している。

ここはロンドン。大学構内

わたしはいつも一人きりで行

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