見出し画像

ふりと本心

『振りで続けていたことが、いつの間にか本心にすり替わるなんてよくあることだ』

米澤穂信さんの小説、クドリャフカの順番に出てくる入須先輩の台詞です。
私にとってこの言葉は自分の、本当に心の底から信じているものです。本当にその通りだと感銘を受けています。


私はいつからだったか覚えていませんが、多分物心ついた頃には謎の逆張り精神だったり、少し素直じゃなく、自分を偽るところがありました。

初めは読書だったと思います。未就学児の頃は絵本が大好きでした(今でも好きですが)。
それが小学1年生の時、教室の端でひっそり読書をする子を見て「カッコいい」と言う気持ちになりました。かなり早い中二病みたいなものです。
それから私はその憧れに近づくために“読書”をはじめました。
最初はただの読んでいる“ふり”でした。つまりは読書をする自分に酔っていたのです。しかし、いざ真面目に読んでみるとこれがとても面白いのです。それからは“ふり”なんかではなく、本当に読書を楽しみ、好きになっていきました。


他にも、アニメですごく人気があるキャラが自分の推しキャラだった時、本当は自分も好きなのに、あえて2番目か3番目に好きなちょっとマイナーなキャラを言ってみたり。

少し気になっている子が車が好きだと知り、たいして好きでもないのに「私も好き」なんて言って慌てて家に帰って調べまくってみたり。

誰でも一度はあるかもしれませんがそんな感じのことです。

つまり何が言いたいかと言うと、私はこう言う場面に直面した時、咄嗟の“嘘”などが長い目で見た時、事実になってしまうことが本当に多いということです。今まで覚えている限りでも80%くらいはこれに該当すると思います。

本好きは今でも健在です。
咄嗟に出てきた2番手の推しキャラは今となっては1番に昇格しています。
車が好きと言う嘘も今ではそこそこ車が好きで、光岡自動車やGT-Rなど、数えきれないほどの好きな車があります。
“ふり”を続けているうちに、それが本当になってしまうのです。

おそらく、自分の知らない分野や物事について知るうちにその深さや面白さに捉われ、本当になっていくのだと思います。
または単なる思い込み、刷り込みなのかもしれない。「自分はこれが好きだ!好きであるべきだ!」という強い気持ちで自分を洗脳しているのかもしれません。

もちろん嘘をつくことを真っ向から肯定するわけではありません。
でも、私はこの性格をそこまで嫌ってはいません。
この性格のおかげで自分の知らない分野に触れ、こんな性格でなければ出会えなかった物に出会えた、そしてきっとこれからも出会えるのだから。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?