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【映画】ZG80-だからアウェイはやめられない-【YFFFオンラインシアター】

こんばんわ初見です。トイレはどこですか?

ヨコハマ国際フットボール映画祭というイベントが毎年あり、いまはコロナで開催出来ていないんですが、オンラインシアターをやってくれてます。すばらしい。

前回は『ヴァトレニ-クロアチアの炎-』というやつを見た。


今回もユーゴ、クロアチアつながりでイゴール・セレギ監督『ZG80-だからアウェイはやめられない-』(クロアチア2016年)です。以下、映画祭noteより。

悪名髙いサポーター軍団のアウェイ遠征『ZG80 -だからアウェイはやめられない-』
🏆YFFFアワード2020 審査員特別賞

分裂前夜のユーゴスラビア。フィチョはディナモ・ザグレブのコアサポ軍団BBBとベオグラードへのアウェイ遠征に。
待ち受けるレッドスターサポーターの包囲網を突破して、フィチョとBBBは無事にザグレブに帰還できるのか?
まだまだ”無邪気”な時代のオイタが盛りだくさんのアクションコメディ。

激ヤバサポーターバトルもののコメディ映画。実話として存在してもおかしくない感じですけど。

舞台は1989年のユーゴスラビアリーグ、レッドスター・ベオグラード(セルビア)vsディナモ・ザグレブ(クロアチア)です。ユーゴスラビアが崩壊に向かう前夜、体制側のセルビアと分離独立を目指すクロアチアの代理戦争ですね。


この映画全体としてのポイントは、さまざまなライバル関係がありながら、連帯が起こるところ。

ディナモサポーターはベオグラードに乗り込むわけですけど、なんとハイドゥク・スプリトというクロアチアの永遠のライバルのサポーターたちと一緒に行っちゃう。憎きセルビアを倒すためには、手を組むんですね。

スタジアムに着いたサポーターたちは、試合前にスタンドから降りてピッチでディナモの旗を掲げる。サポーターたち大喜び大爆笑。

そのサポーターは警察犬から逃げきれずに逮捕されるんですけど、警察の護送車両ではなんとレッドスターのサポーターと2人きりになってしまうんですね。しかも手錠が1つしかないからってつながれちゃう。男同士ラブラブです。もちろん即殴り合い。

この2人も、警察から逃れて手錠を外すために、憎しみ合いながらも連帯を強いられる。その間にも、ディナモサポの帰りのバスが襲撃されて、ベオグラードの街中でバトルの連発。ケンカしてたら警察に追いかけられる。そんなお話です。

サッカー映画ですが、サッカーのプレーシーンはゼロ、最後にサッカーを通してセルビアとクロアチアが1つに…なんてことはありません。残念でした。


アウェイ遠征で激アツ展開があるといえば、『エリックを探して』なんかもそうだった気がします。修士までの指導教員がケン・ローチ監督好きで、それでめっちゃ映画見たんですよ。

「女房も支持政党も変えたとしても、愛するサッカークラブだけは変えられない」みたいなセリフがあった気がする。この映画のオリジナルっていうか、サッカー界にある格言みたいなものですけどね。


『ZG80』に戻りますが、基本的に荒いです。登場人物全員口悪いし、差別だらけだし、すぐ盗むしすぐ殴り合う。サッカースタジアムとはそういう空間と言ってしまえばそれまでか。この辺の空気感は、まあ見るしかないですね。600円払え。

日本のゴール裏にもこわい人たちはいるけど、基本的に平和ですよね。サッカーの発展のために平和にやろうみたいな雰囲気もある。世界的に見てもかなり珍しいのでは。

これはどうなんでしょう?どう思いますか?


もっとバチバチでいいという考えの人もいる。カッコよくなければ、強いサッカーは実現できないぜ、だってヨーロッパも南米もそんなぬるくないじゃん、みたいな。

まあ、僕としてはどっちでもいいんですけど。バチバチやってるの見てるのは楽しい。家で寝転がってツイッタア見ながら、バックスタンドに座ってじゃがりこ食べながら、ちょっと離れて見ていたいですね。

バチバチがいいみたいなのが個人の気持ちとしてしか表現できなければ、「いろんな考えの人がいるよね」で終わっちゃうんですけど、もうちょっとちゃんと説明するとどうなりますかね?


サッカーの発祥国はイングランドで、サポーターがバチバチで問題起こしまくったのもイングランド発祥です。サッカーは19世紀後半に世界中に広まり、日本にも来るわけですけど、スポーツ学では単に球蹴りとしてのサッカーが広まったのではなく、そこに付随するサッカーの文化や精神性ごと広まったと考えるんですね。

当時のイングランドにあった理想的な男らしさみたいなものが、サッカーという競技のなかに含まれている。サッカーのプレーという身体運動を通して、プレーヤーは19世紀イングランンドの男性になっていくわけです(言い過ぎですけど)。その他にも、クラブやリーグの制度だったり、スタジアムやファンだったり、いろんなものがくっついて世界中の国に広まっていく。

そう考えると、本来のサッカーを体現するには、球蹴りを頑張って練習するだけではダメで、ファンがバチバチの文化も取り入れないと追いつけなくない?となるわけです。

※「サポーター」はJリーグ用語っぽい感じなので、ここだけ「ファン」を使ってます。


「イングランド、つよい、ファン、バチバチ。ブラジル、つよい、ファン、バチバチ。だから、日本、バチバチやるべき。」みたいな本場知ってます感だけで押し通す主張じゃなくて、ちゃんと説明しないと…なんてことをみなさんのツイッタアを見て思ってる。

こんなこと書きながらも、僕の個人的な好みで言うと、ゆるいサポーターが好きです。まあ個人の好みですね。

日本のサッカー界は平和なスタジアムを目指してる。誰でも入れるスタジアムという普及の観点ですね。これは正しい。女性も入れればお客さん2倍ですから。スポンサーもつけないといけないし。

基本的には下のリーグほどゆるくて、それは正しいんですけど、1つくらいゴリゴリのチームあったら面白いと思いますね。昔は県に1つ、大都市に1つ、Jクラブ(もしくは目指すクラブ)を作ることで精いっぱいだったけど、いまは複数あるのが当たり前じゃないですか。

そこそこ強くて和気あいあいとしてるクラブに対して、下からガンガン煽って突き上げるクラブが同地域にあってもいいんじゃないですかね。スポンサーつくかはわからんけど、県リーグぐらいなら。

多少やばい煽りしても、別にJクラブみたいに自治体から支援受けたりしてなければ問題ないでしょ。多様性ですよ。


そういうクラブができたら、僕は応援しませんけど。ツイッタアでみなさんが怒ってるのを見ながらゲラゲラ笑います。

次はクロアチアほどじゃないけど、日本で一番バチバチしてそうな松本と長野を描いた、『クラシコ』で書きますかね。

やっていきましょう。


追記:以下のマガジンにまとめてます


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