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税理士が解説!はじめての消費税の中間申告(予定納税)


消費税の中間申告制度とは

普段私たちは買い物をするときに消費税を払っています。
消費税を受け取ったお店や企業、個人事業主は国に納税しなければなりません。

今回の記事は、昨年(前期)に初めて消費税の申告と納税をして今年の8月末までに中間申告をしなければいけなくなった個人事業主の方や法人にむけて、中間申告の説明や、納税が厳しい場合の対処法について書いていきます。

中間申告と納税が必要になるケース

消費税の中間申告と納税が必要になるケースは、昨年(前期)の消費税額(国税分)が年間48万円を超えている場合に申告が必要になります。

申告と納付期限

昨年(前期)の消費税額(国税分、昨年の消費税確定申告書の⑨欄のこと)が年間48~400万円以下の場合は、その事業年度開始の日から6か月間(個人事業主の場合には1月から6月末)で区切った上で、その期間(中間申告対象期間)について中間申告をしなければなりません。これを六月中間申告といいます。

※昨年(前期)の消費税額(国税分)が年間400万円超の場合は、中間申告の回数が多くなります。

中間申告は、中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内(個人事業主の場合には8月末)に昨年分の消費税額をもとに算出した消費税額を申告・納付しなければなりません。

なお、確定申告では、課税期間の末日の翌日から原則2月以内に計算した消費税額から8月末までに中間申告で納付した金額を引いた差額を納付します。

確定した消費税額よりも中間納付額が多い場合

中間申告で納付した金額のほうが確定申告の金額よりも多い場合、つまり事前に消費税を多く払いすぎてしまったら、払いすぎた差額については還付を受けられます。

しかし、なにもしないでいると還付金が受け取れません。還付を受けるためには申告書を所轄の税務署に提出しましょう。

※所轄の税務署は「○○市 税務署」で検索すると国税庁ホームページで確認できます。 

昨年の消費税確定申告書の⑨欄が758,300円の場合

1) 消費税(半年分を算出)

758,300÷12≠63,191(円未満切捨)
63,191円×6=379,146円 → 379,100円(100円未満切捨)

2)地方消費税(消費税のうち22%が地方税)

 379,146円÷78×22=106,938.615 → 106,900円

3) 中間申告納付税額(国税と地方税の合計)

1)+2)=486,000円

こちらのケースでは486,000円を中間申告対象期間の末日の翌日から2か月以内に納税地を所轄の税務署へ納付します。

昨年に標準税率10%と軽減税率8%による申告をしている場合

結論としては、すべての税額につき、標準税率により計算します。

条文上では

当該課税期間の直前の課税期間の確定申告書に記載すべき第45条第1項第4号に掲げる消費税額で当該◯月中間申告対象期間の末日までに確定したものを当該直前の課税期間の月数で除し、これに◯を乗じて計算した金額

消費税法42条(課税資産の譲渡等などの中間申告)

と規定されています。

消費税法45条第1項4号とは、消費税申告書でいうところの⑨の金額で、条文条はその金額を中間申告対象期間の月数で除した値を利用すると定められており、複数税率であるかについては特に言及されていないためです。

今期は赤字でも中間申告の納税は必要?

昨年は、たまたま売上が多かったけれど、今年はそこまで売上が出ないであろうケースも多いと思います。
当然ながら利益も少なく資金繰りが厳しい……そのような場合でも、中間申告で消費税を納めなければならないのでしょうか?

答えはイエス。

昨年の売上をもとに算出された消費税額が多すぎる場合には、仮決算に基づいた中間申告をすることで納付税額を下げられる可能性が高いです。
仮決算とは個人事業主でいうと1~6月の半年分で仮の決算を行って消費税額を申告・納付する方法です。

還付されるなら中間申告はしなくてもいいの?

確定申告することで、今年の確定税額よりも中間申告した金額のほうが多ければ、差額が還付されます。

「どうせ還付されるんだったら、払わなくていいんじゃないの?」

と考えるかもしれませんが、その考え方は大変危険です。
なぜならペナルティとして、加算税(無申告加算税や不納付加算税)の対象とされてしまうからです。

中間申告も一つの申告ですので、中間申告対象期間が終了した時点で申告義務と納税義務は成立しています。
そのため、これらの義務をサボったら、加算税などのペナルティが課されてしまいます。

詳しい方だと、「加算税などが課税されない場合のあるのでは?」と思うかもしれませんが、中間申告の義務がある人は、それなりに多くの納税額が発生しますから、かなりの確率で加算税などが発生してしまいます。

また厄介なことに、加算税は所得税法や法人税法では経費の対象外と定められています。

「どうせ還付されるから」「納める余裕なんてないし」と中間申告をサボってしまうとペナルティが発生しますので、前期実績による納税が難しい場合には、仮決算などによる対応も検討されるべきです。

仮決算とは、中間申告対象期間を一つの事業年度と考え、文字通り仮に決算をすることをいいます。

中間申告は前年(前期)の実績による税額計算が原則ですので、今年(今期)が赤字であったとしても納付が必要になってしまいます。そこで、今年(今期)の実績により仮の決算処理をすることにより、原則よりも納税額を減少させることができる可能性があります。

仮決算でも払えないときの対処法

小売業や卸売業など、資金繰りが厳しい経営者は、仮決算で算出した消費税額であっても納付することが難しいケースもあるかもしれません。

その場合は税務署へ相談しましょう!
分納に応じてくれるなど、税務署もある程度柔軟な対応をしてくれますよ。

※すでに多くの滞納があったりする対応してくれないかもしれませんが、まずは相談しましょう。いかなる税金の滞納もよくありませんが、私の経験上、消費税を滞納するのは特によくありません。

納付書が届いて困ったら、榊原税務労務会計事務所までご相談ください!

初めて消費税の中間申告をするという人は、納付書が届いてから「中間申告」というものを知るケースも少なくはありません。

消費税が払えない……
仮決算ってどうやるの?

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