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ハローとグッバイの暗喩について:GLAY第339曲「Friend of mine」(2002)

GLAY曲紹介は、残り2曲。

今日はアルバム「UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY」から「Friend of mine」です。

2002年リリース。

この曲を初めて聴いたのは、
アルバム発売前、
GLAYがパーソナリティを務めるラジオで、
新曲として流れた時だった。

今でもその時の感覚を覚えていて、
メロディや歌詞から
溢れんばかりの 愛情や優しさを感じて、
不意に笑顔がこぼれたのです。

冒頭のゴスペルが印象的で、
" Don't say goodbye. I say hello."は、
ビートルズの「ハロー・グッバイ」(1967)
の引用と思われます。

ハロー・グッバイ」は
単純な曲のように思えるけれど、
ポールが「二元性」をテーマに作った、
なかなか深い曲なのです。

You say, "Yes", I say, "No"
You say, "Stop" but I say, "Go, go, go"
Oh no
You say, "Goodbye", and I say, "Hello, hello, hello"
I don't know why you say, "Goodbye", I say, "Hello, hello, hello"
I don't know why you say, "Goodbye", I say, "Hello"

I say, "High", you say, "Low"
You say, "Why?" And I say, "I don't know"
Oh no


君がYesと言えば、僕はNoと言うし、
君が「止まれ」と言えば、僕は「行け」と言う。
「行け、行け、行け」と。
なんてこった。

君が「グッバイ」と言って、私は「ハロー」と言う。
君はどうして「グッバイ」なんて言うの。
僕は言うよ「ハロー」。

僕が「高く」と言えば、君は「低く」と言う。
「なぜ?」と聞かれたら「分からない」と答えるさ。
なんてこった。

訳:メッキ張りのヒーロー

ポールはこの曲に関して、
次のようにコメントしています。

二元性は、宇宙における深いテーマだ。
男と女、黒と白、ピアノの黒鍵と白鍵、
高さと低さ、善と悪、上昇と下降、出会いと別れ、
曲にするのはとても簡単だった。

世界の民謡・童謡 worldfolksong.comより引用

ちなみに、私、メッキ張りのヒーローは
哲学が大好きなので、
こういう話は大好物です。

すべての事象には
相反する性質が潜んでいて、
それらはコインの表と裏、
常に表裏一体なのです。
(こうなると量子力学の話もしたいけど、、
それはまた今度。)

何かが上昇すれば、
それは何かが下降しているという事。
光があれば、闇があるという事。

何かを得れば、同時に何かを失っているし、
出会いが生まれれば、
その先に、別れが約束される。
でも、別れがあるという事は、
出会いがあったという事。
いや、
"別れがあれば、その先に出会いがある"
かな?

物事は、常に表裏一体。

実はGLAYにおいても「二元性」というテーマは、
大きな礎となっています。

ただ、このテーマが大きく顔を出すのは、
2009年~2013年頃、
「Great Vacation」の黒と白、ROCKとLOVE、
「JUSTICE」と「GUILTY」なんだけどね。

いや、
「誘惑」と「SOUL LOVE」も、
恋愛の初期衝動における
リビドーとプラトンの対比かも?

いやいや、
アルバム「ONE LOVE」
「UNITY ROOTS & FAMILY, AWAY」だって、
ある時期においてのGLAYの音楽的意欲を
前駆と懐古という、
2つの異なる側面に分割したもの
と言えるかもしれませんね。

で、「Friend of mine」の話に戻って、
ここでビートルズのハロー・グッバイを
持ち出すのは何故か?という疑問。

そこでポイントとなるのが、
ハロー・グッバイを引用してる一方で、
「Friend of mine」では、
"Don't say Goodbye. I say hello"
"グッバイと言わないで。ハローと言うよ"
と言っている点。

つまり、
ビートルズでは"You say Goodbye" だったのが、
"Don't say Goodbye"に変わっているのです。

これは、
物事は常に二元性をもっていて、
良い側面と悪い側面があるけれど、
その良いほうに目を向けようよ、

というメッセージだと思います。

「Friend of mine」に出てくる「君」は
とても苦しい状況に立たされていて、
全ての物事が悲観的に見えていると思われます。

長い間悩んでる事柄
降りしきる雨 君の夢でさえ びしょ濡れになって
取りとめもない会話も虚ろな 電話の声を聞いたよ
居心地の良くない椅子に座ってる
今の自分を愛せないままで 飛べない鳥のよう
君は静かな一日の中で たった一つの彩りもなくした

二元性の解釈であらためて歌詞を眺めると、
"Don't say goodbye. I say hello"
というのが、
単に「goodbye」と「hello」の対比
ではないことが分かります。
つまり、
「goodbye」は物事の悪い側面の比喩で、
「hello」は物事の良い側面の比喩なのです。

これは1967年にポールが作った比喩であり、
この比喩をGLAYが引用した、
と見ることができるのです。

肩を落としている友人に対して、
「物事の良い面というのもあるよ」と、
勇気づけているのです。

そこで、やはり
メッキ張りのヒーローお得意の、
ヘレン・ケラーの名言が登場するわけですね!
(笑)

ひとつの幸せのドアが閉じる時、もうひとつのドアが開く。しかし、私たちはしばしば閉じたドアばかりに目を奪われ、開いたドアに気づかない

ヘレン・ケラー

ところで、
「Friend of mine」は
誰に向けた歌なのでしょう?

それはもちろん「Friend」なんだけど、
後半の歌詞に出てくる「長い手紙」。
この手紙は、
この曲自体のこと
だと考えることが
できるかなぁと思っています。

ちょっと無理矢理な解釈かもしれませんが、
そう考えると、
「物事の良い面を見ようよ」
というのは、この曲を聴く全ての人への
メッセージなんですよね。

うまく伝わる自信もないけど
とりあえず長い手紙でも 今 君宛てに出すよ
それを読む頃 ステージの上で
僕は大声で叫んでるだろう

と、ここまで「Friend of mine」の
個人的な解釈をお伝えしました。

いかがだったでしょうか。
楽しんでいただけたら嬉しいです!

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