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iNa INAGUMA
2017年6月29日 00:01
こんな夢を見た。 青の見えない、一面灰色の空。肌を湿らす程度の小雨を浴びながら街中を歩いていると、黒い傘を差した女性が道の先に幾人かいる。一人、二人、三人とすれ違っていくのは、傘ではっきりとは顔が見えないまでも、全て自分が関係したことのある女性だ。服装は様々だが、皆が黒い傘を差していた。純白のワンピースに身を包み、か細い手脚を露わにし、同様に黒い傘を差した女性は、初めて自分が心を許した、共に
2017年6月28日 23:35
幼い頃に焼き付いて消えない記憶。虫除けスプレーのきつい香り、虫の音、散在するか弱い光。嗅覚、聴覚、視覚で感じる夏。 “夏は夜。月の頃はさらなり。闇もなほ。蛍のおほく飛びちがひたる。” 夏の夜になると北八朔公園は、昼時の静けさとは異なり、多くの人で賑わう。といっても、近所の家族連れで、遠方から遥々訪れるほど有名な公園ではない。遊具などはなく、わずかに整備された道と池のある森、というのが正解
2017年6月28日 23:29
心臓にまで響いてくる、鳴り止まない重低音。視界が揺れる。七色の光が辺りを散在に照らし、男と女が音に合わせてわけもわからぬ動きで踊る。フロアで踊る者もいれば、バーテンの前で静かに酒を嗜む者、低いテーブルに置かれた灰皿の前で煙を吐く者と泥酔してソファに座り込む者、漁るように女を求めて辺りを見回しさまよう者がいる。不快感はそれとなく募るが、心臓の鼓動と供に打ち付ける重低音が心地良い。耳に当てたヘッドフ
2017年6月28日 23:24
液晶を片手に、少しうつむき加減で足を運ぶ、おびただしい数の人。鳴り響くアナウンス。――黄色い線の内側をお歩き下さい―― 何をそんなにイライラしているのか、急ぎ足ながら前につまり舌打ちを鳴らす男。階段を二段飛ばしで駆け上がる若い背広。乗換駅でなおかつ終点だから、スーツや学生服が多い。急ぐものはなにかに苛つき、余裕を持つものは液晶に夢中。この風景を見慣れはしたが、違和感は感じずにはいられない。こ