【5月末まで無料公開】今辛い産業保健職へ~心折れないために~

いいときも、悪いときも、、

いろいろあるなあ、が産業保健。
職域って、そもそもが医療職はアウェイですよね。「医療職」と思って働いてなくても、雇用している事業所側はそう見ていたり(実際、診療所的な機能を求めて、看護師経験を必須として求人を出すところもある)なんだか蚊帳の外な感じがあったり。


産業保健の現状


悲しいことに、私の産業保健仲間はどんどん離職していきました。
もう産業保健から離れた人もいるし、ちょっとしたバイトで相談対応のみしていて外部として産業保健と関わっている人もいます。
入った企業が合わず、転職することもあるかもしれませんが、私が転職してきて思うことは、基本的に「産業保健を全力でやります!」みたいな企業ってないんですよね・・・
そりゃあそうですよね。だって、事業運営は本業が成り立ってこそ。産業保健するために会社があるわけじゃない。
だけど、法的に定められているわけではない保健師や看護師を雇ってくれる会社であれば、まだ理解は少しはある状態だと思う。必要と思って、お金を出して雇ってくれていることを、私たち専門職側が「雇ってくれているから、産業保健の仕事があるのだ」という姿勢(想い)で謙虚に活動を進めたいなって思うんですよね。過去の自分の空回りの時期も含めて思うところです、、

定年までのんびり、みたいな企業にいけば、あまり深く考えず、求められていることだけやって、あんまりがんばんなくっても、自分自身は特にストレスに感じないケースもあります。私も一社目のときは、そんなにモチベーションも高くなかったし、自分ができる範囲が限られていたしはっりきしていたので、「会社がわかってくれてない」とか一人、行き過ぎた考えはなかったかも。人事が労務や安全衛生のことをよく勉強していて、理解ある上司だったからかもしれません。逆に自分は勉強不足で、無知すぎたかも。でも、そういうケースは本当に少なくて、事業所に行けば、共通用語で話せる専門職や担当者は少なく、法令遵守すら「それ守んなきゃいけないの?」という状況だったり、専門職が事業所に説明しないと何もはじまらない、といったケースも多いのかもなと感じています。

私自身も、複数職場(保健師の先輩が複数人いた企業)、市町村(一か月笑)、健保、現在の一人職場(保健師が事業所に私だけ)とうつってきて、保健師一人職場になってからは特に、専門職である自分にできることやその活動の意義をどうやってわかってもらうか、理解してもらうまでひとつひとつ本当に大変だし、共通用語で話せる専門職も他にいないので、個人プレーは絶対NG。そのときの人事のメンバーや自分の成長段階、モチベーション、ライフイベント、コンディションなどもいろいろなので、本当に辛い時期があったなと振り返ってみてしみじみ思います。。

一人職場になって特に、「自分ががんばんなきゃ!」みたいに片意地張ってしまっていた時期は一人で空回りして、どつぼにハマってしまっていた時期もあります。(結構ズタボロだったよ)
そんなこんなも通過してきて感じることを「今辛い産業保健職」に届けて、少しでも楽になるきっかけにしてもらえればと思って、書いてみました。


産業保健職が辛い状況には2つある

・ひとつは、収入面が低すぎるとかとか


自分のがんばりが認められているかどうかの目安にしがちなのは、ひとつ報酬があるかと思います。でも、この部分って自分にはどうにもできない部分が大きいんですよね。産業保健職が新卒で入るケースって少なくって、よっぽど大手で複数保健師がいるような職場でないと未経験者をとらないことから、社会人として数年働いたのちに入社するケースが多いのではと思います。そうなると、この会社では一年目だけど、他のところ(病院や行政、企業などのさまざまな職歴)で働いたことはあり、社会人としては10年目、ということもあります。だけど、産業保健の経験年数が1年の人も、10年の人も、基本的には求人に出ている給与でスタートし、ずっとそのまま据え置きのこともあるし、正社員としてとなると他の一年目の社員と同じように少しずつ上がっていくけど、大幅な報酬アップが難しいこともあったり、そもそも企業のスタイルとして契約社員のままだったり、時給で雇われたままだったりすることもあります。

会社の中での給与形態や規定があるので、他のメンバーが昇格していないのに「自分はがんばってるからこの評価はおかしい」とか言ってしまったら(そもそも本業以外の本部の昇格は遅かったり、特別よい評価がつかないこともあるのに)、上司からしたら「は?何言ってんの?」となるし、他の専門職が先に入社していて会社組織が合併したり、体系が変わったりでいろんな雇用形態が混在する産業保健職がいる事業所だともっと複雑なケースもあります。
がんばりを形にしてみるのって、ひとつ「報酬」ってところがあるんだけれども、組織にいる以上、叶う部分と叶わない部分がある。でもまあ、そのことを踏まえても、「どうして自分だけこんなに低いんだろう」は、モチベーションダダ下がりの原因になる・・・

同じ世代の他の社員に比べ、社歴が浅いので「なんでこんなに低い?」もあるし、「部下がいないから管理職じゃないよね」と昇給しなかったり、後輩がいて教育的な立場にあるのに、専門職は横並びの給料だったり、逆にあとから入った人の方がフルタイムで自分より高かったり。
どうにもできないんだけど、ある程度もらっていれば、認めてもらっているなというひとつの納得材料にもなったりして、ほどほどにモチベーションは保てる気がします。(モチベーションに関与するところって、本人の人生の中での仕事の位置づけとか考え方が大きいので、もらっているからってもらってないからって影響しない人もいるかもですが、少なくとも、もともとのモチベーションが高い人は、の話)
地方だと本当に求人もなくて、企業が専門職に求めるミッションのビジョンがあいまいで、なるべくなら費用負担が少ない方がいいことも多くて、その結果、給与水準が低いということが多いのですが、なりたい人は多く、倍率が高いのが現状です。
(※関東のように進んでいる企業が多い地域では、条件がよいところは、採用する人に求めることが多いこともよく知っておくこと。例えば英語が話せることだったり、何か自分で企画した実績があることだったり)

なので、「自分がその条件で納得して働けるか」というところでしかないかなと思います。


そしてもう一つは・・・

・人事と(他の産業保健職と)うまくいかないとかとか

産業保健に思いが強い方だとここが一番辛い!
状況としては、例えば「健康」と名のつくものは全部丸投げだったり、「保健師なんているの?」という人事、上司の雰囲気だったり、担当者と活動の方向性が合ってなかったり。

人事と「協働」ができないのが一番辛い。
相談対応していても、その意味というか何のためにやってるみたいなところがわかってもらえなかったり、「保健師面談っているの?」とか「意味あるん?」とか、人事と役割分担するのが難しく専門職だけが悶々としていたり、膨大な事務作業を一人で捌くしかなくて疲弊してたり。
結構、「助けて」とか「辛い!」とか言えない保健師って多いなと思う。自分は本当は、助けて!とか辛い状況なのに、逆に人事とやり合っちゃったり。

入ってみて
「こんなはずじゃなかった」
「うちの人事はわかってない」
「私はこんなに勉強しているのに全然専門性が活かされない」
「他の専門職はモチベーションが低い」
「地方の産業保健のレベルが低いから」
いろいろ自分なりの想いもあるかとは思います。
でも待って!
何をするために私たちって雇われてんだっけ?

・・・?

そこに働く人たちの笑顔なのでは?
企業は、少なくともあなたにお給料を出して雇っていて、会社に貢献してほしいと思ってるんだよね?

それを環境のせいにして、与えられたミッション投げ出しちゃ、あなたが対象とする人たちの健康は?幸せは?
あなた自身が、元気に明るく健康に活動できる準備できてる?

過去イチ辛かったときの自分にも向けていいますが、「自分が見えてますか?」ってこと。俯瞰してみて、自分の働きや、事業所に本当に求められていることを本当にやれているか。

基本に立ち返らないと、自分本位な考え方になってしまって、そのことが自分を苦しめ、自分の首を絞めているのかも。
その職場に入って、とか産業保健をちょっと勉強していて、「わかった気になっていないか?」「自分だけ一生懸命やってるって思ってない?」「ひとりよがりになっていないか?」「まわりの歩調を見ずに暴走してないか?」「私は専門的に勉強してます!って調子にのってない?」


わたしも、4年目くらいすごく辛かったんですよね。
今、振り返ってみると一番は「担当者さんの姿勢」
一緒に対応はしてくれるんだけど、主が「保健師」なのでなんか責任が全部「自分」にある気がしていてすごく辛かった。(ポイントは「気がしていて」。コミュニケーションとる努力をしていたか、自問自答する。。)
次に報酬
同世代の職員は普通に頑張っていたら管理職になっていて、自分のもらっている給料とはすごく開きがあったこと。

言葉にして伝えていくことが大事かなと思います。
担当者さんは、その後人事も考えて配置してくれていて、「今は」職員に対する対応の方向性、姿勢が合う担当者さんがいて助かっています。
ただ、それも変わるとまた辛い時期も出てくるだろうなと思う。
だけど、安全衛生や、産業保健に理解が深まった職員が異動して現場に戻っていけば、そばにはいなくなるけど、事業所全体の活動の展開はどんどんしやすくなるので、わからない人が来たらコミュニケーション取って、一緒に「協働」して悩みながらも一緒に対応して、安全衛生、産業保健を一緒に勉強していく。専門職だけが暴走しないことだなと思います。知識はあっても職場に根付かせられなければ台無しになっちゃう。その術(すべ)を自分で身に着けていくのが、現場の保健師の「ミッション」だから、言葉でいうと簡単に聞こえてしまいますが、うまくやること。

同級生に政治家がいるんですが、年中選挙ばっかりやってるじゃん、選挙選挙で活動やってんの?って私が皮肉をいったら、「選挙に当選しない限り何にもできない」といいます。産業保健でも一緒で、事業所に理解してもらって動いてもらわなければ何も進められない。個別対応はそれなりにできる。個別だけで終わるけど。産業保健の醍醐味(特徴)って、「全体」最適化なので、個別支援だけやるなら病院でも、外部でもいいのかなと思う。
事業所になじんで、うまくやる。産業保健のパッション、世の中こうなったらいいなという夢、パッションは「ひたかくしにして!」笑。
想いがあっても、現場で全然展開できなければ、空回りするだけのものになってしまう・・・
専門職が自分の、自己実現するための場じゃないよ、職場は。
だからといって、事業所の言いなりになって、いうとおりにするだけの「専門職」になれということではなく、職員のみなさんのために「自分にしかできないこと」をやるためには、どうしたらいいかを考える戦略、バランスをとることだと思う。

こんな忙しくてへろへろになってる。
人事がわかってくれなくて疲弊してます!
って、その努力を常に、私たちは意識して動いていかないといけないと思うんですよね。だって、共通用語ではないから(みんながそれが本業じゃないんだから)。人事ですら、会社に入るときに「人事専門です」って入っているわけではなく、はじめての仕事だったりするのに、安全衛生、産業保健なんてもっとわからないわけだし。だから、一緒に勉強していく。
きかれたら自分も「相手にわかってもらえるように説明するには」「自分はちゃんとわかっているかな?」の視点で、一緒に考える、調べる、伝える、やっていく。(研修講師のときにも役立つ)

相談対応するときも、部屋にこもって「何してるかわからない」になりがち。そう、健康支援室が「ブラックボックス」になるとますます周囲の理解が難しくなる。情報は加工して常にまわりと「共有」していくこと。
こういう対応してます、こういう状況になってますを報告してるか。
わたしは一人で対応に入らないようにしてます。そういう状況がかなわない企業もあるかもしれませんが、やっていくと少しずつ浸透してきます。空気的に一人で対応するしかない状態になっても、扉を開けておいて担当さんに聞こえる状態にしておくとか、電話対応も横でかけるようにしています。
常に担当さんと共有、上司(課長・部長)にも逐一報告しているので、私が不在の時も担当さんが対応できるし、保健師だけでは対応が難しい「事業所(人事)としての視点や助言が必要なとき」は、私が対応して不十分だったとき、すぐ相談者の上司に、担当さんが連絡してくれたり。まわりに動きが「わからない」をなくすこと。だって、会社に雇われているのに、会社が求めてないこと、会社にみえない動きってどうかと思いませんか?
なので、相談対応が残業して発生するときも、「こういう状況になっていて、時間外に相談したいと連絡があったんですが、対応していいですか」ときくようにしてます。動きをみせる、動く前に相談することが組織の中で大事だということを、保健師の上司がいない今の一人職場で少しずつ勉強させてもらっていると思います。(上手にできないけど)
専門職って暴走しがちなので、一呼吸おいて、動く前に必要な根回しをきちんとしてから、活動に入ることを心がけておくといいなと感じています。

自分が輝くこと、自分で自分をほめてあげること

産業保健は特に、「やらなかった場合の効果」なんて誰にもわからなくて、そんなありがたがられない分野だし、成果なんてそうそうでないし、すごいなんて言われないし、目立たないし。そういうことを仕事のやりがいとしたい方は、他の仕事の方がいいかも。
外科医のように「先生が治してくれた!」みたいなところはないので、脚光を浴びるわけではないし、それが予防の分野だし、研究の領域なんだと思います。本当に地味で地道なんだけど、私自身はたくさんの研究してくださった方がいて、今の医学があるし、公衆衛生があるし、本当に大事な素晴らしい分野だと思っています。その研究があってこそ、今の世の中を作っていると思う。だけど、ほんとそれですんごい評価されて脚光を浴びてありがたがられていい気分になれる仕事じゃないんですよね。だから、「自分の仕事には意味があるぞ」って自分で信じてやり続ける力、気力って大事なんで、産業保健には長くやり続けるスタミナ大事。今日もがんばった!これ、できたぞ!今度はもっとこういうことできるかも!って、自分で小さい喜びをみつけて、自分でほめることができないと、そんな褒められたりしないので、ちゃんと自分が雇われている意味があって、今置かれているフィールドで少しでも貢献するぞ!したい!っていう前向きな気持ちを持てることが、少しずつ活動を根付かせ、前進させるためには必要な「専門職のマインド」だと思う。一緒に働く専門職が「モチベーションが低い」「スキルが乏しい」と感じてしまう方も、本当にその方から学ぶことはないのか?自分がそんなにすごい人か?できてるのか?
専門職でなくても、どんな人からも、教えてもらうことって絶対あるので、謙虚に学びつづける姿勢(自分の分野だけにとどまらないこと、興味を限定しないこと、人事が何考えているか、何に苦戦しているか知っているのか?それもわからないまま、「わかってもらえない」「わかってない」って言ってない?他の業種・職種・会社の人たちがどんなことに立ち向かっていて、どんなこと考えて、どんなことがんばってるのかとか興味関心持っているか)が大事だとつくづく思う。←自分に向けてです。忘れがちなので

そこに想いをはせられないのに、
少なくとも自分にキャパがない、余裕がない状況なのに、
人の健康なんて、人生なんて、社会の発展なんて
考えることができるのか・・・・


そんなえらそうなこといっても、私自身もまた人事が変わったり(今年課長が変わったのでまた一から頑張ってます涙)、担当者が変わったりしたら、苦戦しながらコミュニケーション取って、報告や相談しながら動きも見せて、それでもうまくいかないときがある・・・うんうん
だけど、それが産業保健なんですよね。

だから、簡単に離職する・転職するのではなく、ちょっと辛抱して居続けることでわかる・見える景色もあったりして。かくいうわたしも、今のところが9年目で、6・7年目でやっとやりやすくなってきたところが出てきたなと思っています。(給料も少し見直してもらったのもあるかも笑)
がむしゃらにできる1、2年目はよかったのですが、3、4年目がすんごい辛かったので。そこを超えて、こういう感じなんだなと思うし、産業保健がんばってやりたい!っていう方には、がむしゃらにやってそこを体験してほしい(受け身じゃだめ)。

それに、産業保健だけじゃないから別に「いつやめてもいいなー楽しんでやろ!」くらいの肩の力が抜けている感じくらいがちょうどいいです。
なんか言われても、てへへーくらいで。
真剣にやるときはやる。(あちらが深刻な相談をしてきたときは一緒に一生懸命考える、悩む!)
変わってくれたらラッキーみたいな感じ。みんな(人事や従業員)の歩調に合わせて。他の専門職とも担当者さんとも、自分にできるところ、得意なところをお互い活かしながら協働して。のんびりいきまっしょい。

いいじゃん、楽しんだ方が。
体・心が元気になるってとっても素晴らしいことだよ。
自分が健康に、いきいき、楽しんでやろう♡
できること、やれることを精一杯やろう!
それを体現してもないのに、相手に求めるのではなく。
相手(が変わってくれること)にフォーカスしすぎないこと。
自分がまずいろんなことに挑戦して、学んで成長して。

熱意・没頭・活力
とはよく言ったもんだなあと思っていて(笑)
エンゲージメントだ・・・

最近、私がハマっている音声コンテンツがあり。。
「みんなのメンタールーム」って番組。会社員のお悩み相談なんですが(別の会社の産業医の先生に教えてもらった)、わりと「合理的に効率よく成果をあげる」みたいなスタイルの番組で、とにかくがんばることの意味を話していたことに対して、「がんばったことがすべての原点、時間をかけることを避けては得るものはない元祖昭和」の魂が刻まれた方からの相談内容でおもしろかったので共有します。

産業保健って、すたすらがんばる(一人でじゃないよ)、みたいなところも多く・・・
211回のanswerソングだったので、211回から聴くといいかも。


まとまりなくてごめんなさい。
うまくできないからね(笑)わたしもっていうね。。
でも、悩んでいるだれかがふっと視界が開けたりするといいな。
産業保健の仕事って、楽しいよ!というか、笑顔で楽しんでね!

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