呪縛

15歳から11年間、ある意味で青春をささげた組織が非常に残念な事になっている

ニュースで自分がいた組の名前をアナウンサーが読み上げるのを聞くたびに少しだけ心拍数があがる自分がいる

何でだろう、そこまで劇団に愛も情もないんだけど、退団してから20年、まだ心のどこかに劇団の看板みたいのを下げてたんだろう、悪いことも長い時間かけて消化して美化してたのかもしれない、そしてそれは自分を守る無意識からしてたのかもしれない

呪縛というと言い過ぎだが、今回の事件を受けてほとんどの「元」が心拍数が上がったと思う

上下関係、上からされた事は「落語のまくら」の如くでポンポンと笑い話に変換され出てくるけど、自分が下にした事は果たして笑い話に出来るのか、あの時の冗談は果たして受け取る側は冗談として取ってたのだろうか、それを思うと心拍数が上がるのだ

色々記憶を引っ張り出してみると、本科時代に数人で門限破りをして寮の裏のフェンスを飛び越えて戻った事があり、当時、この清く正しく無い行為を武勇伝の如く後輩に語ったところ彼女は本科になった時に私が伝えた「伝統」をそのまま実行した、丁度、劇団上級生の車が側を通りかかり、あわや大問題になりかけたことがあった、もし私が語った武勇伝を彼女が勘違いして守るべき伝統と捉えたのであればこの場を借りてお詫びしたい

私は阿呆だった

いつもどこかで斜に構えてヘラヘラしていないとあの場所では生きていけなかったのかもしれない、もっと真面目にやった方がいいと色んな人に言われ続けてきた

阿呆な私だけど、亡くなった生徒の気持ちを考えると涙がとまらない、阿呆になるでも辞めるでもどんな方法でも良いから逃げて欲しかった、もし私がこの状況を知った上で神様が1日だけ劇団に戻してくれたら私は彼女にどんな言葉をかけて思い止まってもらえただろうか、そんな事を考えるのは私の怠慢だ、でも一晩中、嫌いな上級生の悪口を聞いたり、その上級生に変なあだ名つけてブスな似顔絵かいてバーカとか言いながらロケット花火に似顔絵をくくりつけて武庫川から飛ばして馬鹿笑いしたら...とか色々考えると涙が止まらないのだ

声を上げなくても、見て見ぬふりしているように見えても彼女の事を思って心拍数が上がっている「元」は結構いると思う、報われる事を祈る人も




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