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神同期の特訓

そういえば、複数人での飲みの席が苦手でした。

なんとなくその場にいる、みたいなのがダメです。みんな楽しくなんとなくならわたしも楽しいのですが、みんなどこか上の空で、でも付き合いでだらだら時間をすごす、というのが本当にダメでした。

その結果、何が起きたかというと、社会人になって飲み会で関係性を築けないのです。苦痛なので早く帰りたい。けど、この場にいないと社会人活動上欠かせない情報をゲットできない。

そんな飲み会レベル1のわたしの側に天から降ってきたのが神同期でした。

特に、Aちゃんと、Bちゃん。

この二人に徹底的に鍛えられました。

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まず、飲み会には末席というものがあることを教わりました(それすら知らなかった)。で、出口に一番近い末席に座らされて、「早く帰りたい!」と思っているわたしの横で次々と指示を繰り出すのです。

「あ、〇〇さんのところに行って、飲み物、次何にするか聞いてきて」

「はい、あそこのお皿と開いたグラス下げて」

「ほら、そこタバコが溜まってる。取り替えて」

慣れない動きに最初に一年はヘロヘロ。が、回を重ねるごとに、次にどう自分が動けば全体の場が心地よくなるのか、少しずつわかるようになってきました。なるほど、次はこうすればいいのかと。

二人の言葉で、すごく印象に残っている言葉があります。

「いい、8rukun。『おお、悪いな』って言われたら負けだからね。気を使わせたら終わりだから。気づかれないように。そっと、さりげなく」

タバコの灰皿を変える時は、吸っている人の視線が他にいっている時。死角から灰皿を被せて、粉が飛び散らないように。代わりの新しい灰皿を同じ位置に置く。吸口も同じ場所になるように。

ビールを変える時も同じ。視線が他にいっている時に変える。置く場所もビールジョッキの持ち手も同じ位置に。

グラスに水滴がついてきたら、気がつかれないようにおしぼりで水滴を拭く。机も同じ。だれかと話をしながら、視線は相手に合わせたまま手を動かす。

空いた皿を下げる時は、他の用事のついでのようにさりげなく身体を後ろにずらす。絶対に立ち上がって、「さあ、今からぼくがこのお皿を下げます」とならないように。


そうこうしている間に、嫌いだった大人数の飲み会が楽しくなりました。どんな飲み会でも。いかに気配を消して、いつも綺麗な魔法の灰皿や、飲んでも飲んでも減らないビールジョッキを作れるか。パーティーのような場では、接客スタッフさんと勝負です。プロより先に気がついて、プロよりさりげなく、場をいかに温められるか。


コロナの影響で、みんなで集まってという機会がなくなりましたが、それ以前にみんなで集まる場にいると、見ている人は見ているんですね。「8rukunはそういう気配りができる人なんですね」とそっと褒めてくださいます。ありがとう!それ、全部、同期が鍛えてくれたんです!褒められるたびに心の中で「教えてもらったこと、今回もなんとかちゃんと実践できました!」と同期に報告していました。

ちなみに、社内飲み会以外でも同期から特別特訓を受けました。最終課題が同期だけのバーベキューを楽しく開く。たしか主催3回目でやっと「これで、8rukunも社会人だね。おめでとう」と言われた気がします。記憶が違ってたらごめんなさい。


最近、主人公が試練を乗り越えて成長する物語を立て続けに見て、ふと、自分もそんな物語にいたよなあと思い出したのでした。


ごちそうさまです。


まさかお金が振り込まれることはあるまい、と高を括っているので、サポートされたら、とりあえず「ふぁ!」って叫びます。