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キャラが立つという曖昧な言葉を理解すると、キャラが立つ

漫画ではよく「キャラが立ってる」「キャラが立ってない」という言葉を使います。特に制作側は。
編集者の方に「キャラが立ってない」と言われた事のある漫画家志望者の方もいるのではないでしょうか?

もし、具体的な話をせずただ「キャラが立ってないからダメ」と言う人がいたら、あまりその人には見せない方がいいかもしれません…

キャラが立つという言葉はすごく曖昧で、
ハッキリ指摘出来る能力がある人はもっと明確なアドバイスをくれるからです。
「でもキャラが立ってないと言われる。どうすればいいんだよ?」という話をします。

キャラが立ってない、というのは
その人物の魅力が伝わらないと言い換えてもいいかなと思います。

では魅力は何か…僕が思う魅力は他の人とは違う行動・リアクションです。

漫画における魅力は、現実の人間とは異なります。
現実の人間なら食事を奢ってくれるとか、予約がスマートとか、運動出来るとかで十分魅力的でしょうが、
漫画のキャラがそれをやっても大した魅力にはならないでしょう。
漫画では、他の人と違うことをしなければなりませんから。そもそも漫画の魅力は、必ずしも良い事をしなきゃいけないわけでもありません。

例えば「デスノート」の夜神月なんてめちゃくちゃ魅力的ですよね。でも良いやつ、とは言い難いです。
なぜ夜神月が魅力的なのかを考えます。

人の名前を書いたらそいつを殺せる、なんてノートを拾えば、嫌いなやつや悪いやつの名前を書いてやろうと思うのは普通のことでしょう。実際に死んだら怖くなるでしょうが…

夜神月はかなりの数の名前を、ノートを拾って間もなく書いていたり、色んな方法を試していました。これはすごいことですが、ここまでは夜神月の行動はそこまで並外れたものではないです。まだ「すごい賢いやつ」くらいです。

夜神月の魅力は、死神リュークとの出会いによって引き出されます。
もし突然死神が現れて、そのノートの持ち主だと言われたら
普通の人間はびびって逃げ回り、命乞いをするでしょう。頭がおかしくなって幻覚を見てると思うかもしれません。

しかしここで夜神月が言うセリフは
「待ってたよリューク」です。

完全におかしいでしょう…いくら非科学的な力を持つデスノートを目の当たりにしたからといって、死神を前に「やっぱり」なんて言えないでしょう。
このリアクション一つで夜神月の魅力が引き出されています。
「この男普通じゃない」と思うはずです。何かとんでもない事をやってくれそうだと…

さらに普通の人間なら「デスノートを使って世界を良くしよう」というところまでは考えますが、そこも夜神月は想像の斜め上をいきます。
デスノートで悪い人間を消す…そして夜神月は
「新世界の神になる」と言います。

ただの高校生が神になるなんて…しかし夜神月のすごいところは、それがギャグやただの中二病ではなく
「本当にやるかもしれない」と思わせるところです。
魅力の無い人間が言っていたら、ただの変なやつで終わっていたでしょう。

「デスノートで悪いやつを殺す」だけならキャラは立ちませんが
「死神を怖がらず、新世界の神を目指す」という行動をすることでキャラが立つ。魅力が伝わる。

普通しないような言動や行動をする。

誰もが言いそうな事ややりそうな事をするやつは
言い換えれば「読者が予想できる事をするやつ」なんです。
魅力が無いやつは、予想通りのやつ。
創作は読者の想像の斜め上を行かなければなりません。
期待通りだけど、予想外でなければ。

まとめ
・「キャラが立ってる」=「魅力がある」
・「魅力」=「予想を上回る事をする」

ただし、もちろん予想外の行動は
わけのわからないことをすれば良いというわけではなく
ストーリーに合った、設定をより盛り上げるものでないとだめです。ただ予想を裏切るだけならだれでも出来ますから。
大事なのは予想の反対ではなく、予想を上回る事です。


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