見出し画像

あかいはな

私が中学3年か高校1年の時に、子供たちが読むためにつくった物語が、家の整理をしていたら出てきたので、恥を忍んで記録として残したいと思います。

題名: あかいはな

むかし、ある広いのはらに小さな家がありました。
そこには1人の年をとったりょうしがいました。ジミーという名前でした。
いつも森へ行き、えものをとらえてはそれらを食べてくらしていました。
のはらには何もなく、動物がいるだけで、ジミーはいつもさびしかったのです。たいくつになると森へ行きえものをとらえていました。

ある日、森のうさぎのバニーがジミーにもんくを言いにきました。
「ジミーさん。あなたは森の動物をころしすぎです。まいにち友だちがへっていくのがかなしいです。」
とバニーが言いました。するとジミーは、
「それはごめんなさい。これからはまちに行っておみせでたべものをかいます。」
といい、
「わたしはずっとひとりでくらしています。さびしいのでいっしょにこの家でくらしませんか。」
と言いました。バニーはむかしからにんげんの家にすみたかったのでよろこんで家の中に入りました。

そして2年がたちました。バニーはだんだんたいくつになってきて色々いたずらをするようになりました。ジミーはバニーがかわいいのでおこりませんでした。ところがだんだんバニーのいたずらがひどくなり、ジミーもさすがにおこるようになりました。家のまどをわったり、かびんを落としたりしました。このままでは家がこわれてしまいます。ジミーがいくらおこってもバニーはいうことをききません。

ジミーはもうバニーのことがきらいになりました。しかしバニーはジミーが好きです。あまりにもたいくつなのでいたずらをしてしまうのです。
ある日、バニーは石をてんじょうのでんきにあててでんきゅうをわってしまいました。そのはへんがジミーのあたまにあたり、ジミーはけがをしてしまいました。
ジミーはおこってバニーをつかまえようとしましたが、バニーは家の中を走りまわってにげました。そしてバニーはジミーの大切なうでどけいを持って外ののはらににげて行きました。

ジミーはおこっててっぽうをもってのはらへおっかけていきました。もちろん、あてるつもりはありません。バニーもそれがわかっていました。ジミーが走っていると、地面の石につまづいてしまい、そのとき、まちがえててっぽうをうってしまい、バニーにあたってしまいました。
まっかなバラの花がのはらいちめんにさきみだれ、すぐにかれていきました。ジミーはバニーのことをさがしましたが、バニーは消えてしまいました。

ジミーはなきました。なみだがかれるまでなきました。
「うつつもりはなかったのだ。ゆるしてくれ、バニー。」
といいました。そのとき、とても大きな地しんがおこりました。いそいで家へもどると家はくずれていました。もしジミーが家の中にいたら、どうなっていたでしょう。たぶんジミーとバニーはしんでいたでしょう。ジミーはいいました。
「バニーは私をたすけてくれたんだ。ああ、バニーありがとう。」
そしてジミーはまたバニーの体をさがしましたがどこにもありませんでした。

ジミーは自分で家をたてなおしました。そして3日後の朝、さんぽをしに行こうとしてドアをあけると足の下に赤いはながたくさんおちていました。ジミーは家の中の花びんに入れてみました。すると、その赤い花はみるみるうちに美しく力づよくさきました。しかしどこか少しさびしそうです。

それから3年がたちました。ジミーはもう年をとってしんでしまいそうです。あの赤いはなはまだ元気です。ジミーがベッドの中でよこになってしぬじゅんびをしていると、花びん中のはながとつぜんジミーのまわりをかこむようにさきました。そしてジミーはバニーがすぐちかくにいることがわかりました。そしていいました。
「バニー、おまえはいったいだれなんだ・・・・もしかしておまえは・・・おまえは・・・」
さいごのひとことがいえずにジミーはしんでしまいました。


赤いはなはさらにうつくしくちからづよくかがやきました。
そして花びらは、まどをとおってそらいちめんにまいあがっていきました。              

まちを歩いていたこどもが、そらをみていいました。
「お父さん、おそらが動物えんだ。」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?