見出し画像

イミテイション・ゴールド  詩6篇


聖夜・八月


夜のまろやかさ
冗談の水飴を塗りたくられたみたいに

 今日は、今日も、(たぶん明日も)人を憎んだ(憎むだろう)、こんなに人を憎むのは、僕のたがが外れているんじゃないかと思って、僕はたがが外れているのかなあ、と呟けば、その「かなあ」がどうしようもなく憎くて、いつしか僕は僕以外のものすべてを憎んでいるのだけれど、僕以外のすべてにはとうぜん僕そのものも含まれる

夜の音
パイプが ぎちり と軋む音

それさえも
聴こえないところに行ったら 僕に再び冗談の夜はくるのだろうか?


夜の声


夜を複製する
 ときに
  こぼれ落ちてしまうもの

暗がりのなかで
 僕は
  僕の外にある〈それ〉を聴いている

宇宙には涯があるって
この部屋には出口があるって
ほんとうなら ほんとうのことを知らなければよかった

  さみしくなんかない

ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、ぐ、
アメコミじみて
かすかな夜の声

いったい
 何を
  複製しようとして

誰の手もとに届けようとしていたのだろう?


ここから先は

663字

¥ 110 (数量限定:残り 20 / 20)

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

もしお気に召しましたら、サポートいただけるとありがたいです。でも、読んでいただけただけで幸せだとも思います。嘘はありません、