お手軽な正義

[1]お手軽な正義
 正義というのはとてもお手軽で、失敗や失態を犯した人に対して対岸から正論を吐いて追い詰めれば良いだけだから、いとも簡単に優越感を獲得できる。
 別に責められるべき人は責められても良いし、大抵は責められるだけの理由があり、反省のきっかけとして苦言を呈されることが必要だけど、気をつけないといけないのは、正義の光に守られて正論を吐く側自身の資質だといつも思う。
 正義の光に守られていれば、何を言っても良いわけではない。言われた側からすれば「確かに悪かった。けどあなたには言われたくない。」と思ってしまい、逆効果になってしまうことも往々にしてある。正義を振りかざす時は、振りかざす人と、振りかざし方と、振りかざす相手との関係性がとても大事だと思っている。

[2]正しく向き合う
 怒りや正義は正しく使えば前向きに生きる武器になると思っているだけに、SNSでも対面でも「うわぁ」と感じてしまうのは、そういった正義の振りかざし方に違和感を覚える時がほとんどだったりする。
 世の中は、あまりに怒りや正義がお手軽になりすぎた。怒りや正義を使うべきでない関係性やタイミングで振り回している人がどうしても目についてしまう。誰かれ構わずすぐに正義の刀を抜いて大暴れしている人を見るたびに、全く関係がなくてもなんだか座りの悪い気持ちになって、その場から離れたり、SNSを閉じたりしてしまう。
 やはり怒ったり、正義を振りかざす相手に対して「言ってくれてありがとう」と思ってもらえる人にならなきゃいけない。それは言い換えれば、相手のことを本気で思った優しさや配慮の裏返しなんだと思う。正義を振りかざして大暴れしているだけでは、ただ相手を傷つけて、自分が気持ちよくなっているだけだ。
 そうやっていつもいつも自戒をして、お手軽な正義や怒りに手を伸ばさないようにしている。

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