ZOOZ 5thアルバム『Mutation』に寄せて
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［1］気がついたら産まれていたのに難産だった
不思議な話ですが、僕はこのアルバムの曲達ができた過程をあまり覚えていません。もともとZOOZは多作も多作、曲が溢れでてきて困ってしまうくらいなのですが、3rdアルバム『Night』や、4thアルバム『Deneb』に関しては、終盤に所謂「産みの苦しみ」みたいなものがあったような気がします。しかし、今作はそう言った記憶がほとんどありません(メンバーで僕だけかもしれませんが)。
なんだか「冷蔵庫に入っている食材で料理作るよ」みたいな、それくらいの手慣れ感で作り上げながら、でも「いつも使わないスパイスとか、どこの国から仕入れたか分からない穀物使っちゃうよ？」といった不思議な楽しみ方をしているような曲群です。
それはレコーディング場面でも顕著で、昨年の今頃にはすでに録音自体は終わっていました。気がついたら生まれていたのです。しかしながら、そこから数奇に難産の経路を辿ることになります。変な言い回しですが「産まれてから難産だった」のです。
そういえば、僕は帝王切開で産まれてきたのですが、切開してみてびっくり、へその緒が首に巻きついて顔が真紫で死にかけていたそうです。それまでは順調だったのに。なんだか今作は、そういった不思議な境遇から生まれたアルバムのような愛着があります。
［2］数奇な運命
そういうわけで、このアルバムの録音はこれまでと同様、大阪は堺のHiddenPlaceで録音しています。
諸般の事情から、これまでのエンジニアの方から別の方にバトンタッチする形で筒がなく録音が進みました。録る人が変わると、音も変わります。また違った表情を見せるZOOZの楽曲に心が躍っていました。
録音から数ヶ月して、これまた諸般の事情が発生し、ミックスマスタリングは京都(Studio SHIKARI)で行うことになり、また新しいエンジニアの方を迎えることになりました。京都のスタジオで生まれた楽曲は、大阪は堺で録音され、また京都へと戻ってきた形になりました。今回のアルバムは慣れた場所の空気と、新しい人の息吹が入っています。気がつけば2024年に入っていました。
［3］外的要因は生物を「変容」させる
そういったあちこちの病院を回ったかのような、不思議な経路を辿って出来上がった今作は、アベさんの意見が採用され『Mutation(変化/変容/変異)』という名前がつくことになりました。
ZOOZの楽曲を見ても、確かに今作は「4人のスタジオから」誕生した曲も多く含まれていますし、誰かが強力なリーダーシップを持って作られた曲はなく、しっかり協調しながら作ってきたように思います。ある種、このZOOZのメンバーの味を活かしたり、その時々のムードだったりが、大いに反映されているといっていいかもしれません。
そして、録音、ミックスマスタリング環境は大いに変容しました。生物は、生きていく上でその環境に合わせて体や、行動や、思考が変容していきます。それはおそらくバンドも同様で、楽曲も生き物のように変容していきます。今作はきっと、そういった外的要因から生まれる偶発的なMutationが沢山詰め込まれたアルバムなんだと思います。
［4］Mutationのその先へ
散々「ZOOZは曲が沢山できすぎている」と豪語するだけあって、我々はもうすでに次のアルバムにも着手しています。『Mutation』の制作で出会った人や場所をフル活用して、新しいスーパークールを生み出そうとしています。
Mutationが生み出すその先は、ネオ=ダーウィニズムならぬ、ネオ=ポストパンク、ネオ=ロックなのかもしれません。そう思うと、『Mutation』のおかげでこれから先の人生も幾らか楽しみだし、かっこよくあり続けることも幾らか容易になるんじゃないかと僕個人は思ったりしています。
そういったこれからの変容も視野に入れながら、このアルバムを聴いてくださると、非常に嬉しく思います。
▶︎『Mutation』サブスクリプションリンク再掲
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✴︎レコ発があります✴︎
《東京編》
2024年8月17日 (土) 東京 新宿Marble
ZOOZ & Marble pre.
ZOOZ 5th Full Album『Mutation』Release Party
-ACT-
ZOOZ
神々のゴライコーズ
Pink Zaphod Magical Beeblebrox
《京都編》
2024年9月8日 (日) 京都GROWLY
ZOOZ 5th Full Album『Mutation』Release Party
-ACT-
ZOOZ
ウサギバニーボーイ
SuperBack
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