『MAGIC』セルフライナーノーツ-その1(全4回)
ガストバーナーの音源が出てしまう。一生懸命作ったものを世に出す時、ほんの少し「こんないいもの、このまま秘密にさせてもらえないかな」と思ったりする。しかしもうここまできたら後に引けないのだ。サブスクの申請は通ってしまった。世に出てしまう。やりきるしかない。というわけで、ドラムである私16ビートはやおからみた『MAGIC』のことや、その期間に感じたこととか色々書いていきます。(まあ音源のプロモーションの一環ってやつですかね)
[1]ガストバーナーって楽しい
バンドが楽しい。ガストバーナーが楽しいんですよ。羨ましいだろう。羨ましいだろう!!!
コロナ前によく見た「俺たちこんな頑張ってる…!少しずつ大きくなるために、みんな応援してくれよな…!!」みたいなバンドって、随分と少なくなりましたね。コロナという危機に直面して、やりたい事を達成できるビジョンが見えなくなってしまったのでしょうか。
ガストバーナーに関しては「なんか分かんないけど楽しい!!最高!!喧嘩もするけど、まぁ、最高!あ!スマホ無くした!!まあいっか!!」みたいな域に突入している気がしている。
2020年3月に結成して、あっという間に4年目に突入しているのですが、メンバーの良いところ、悪いところ、それぞれ肌で分かるレベルになって、何となくRPGのパーティーとしてかなり歪だけど互いに補えるような関係になりつつあるような、ドラクエで言うとキラーマシン、キラーマシン、キラーマシン、羊飼い、みたいなパーティーですが、何だか上手く回っている、そんな感じがしています。
[2]MAGICの下地
前作『GoodLuck』が完成してそのツアーに出る直前から、『MAGIC』を作り終えるまでに起きたことの大半は「メンバーの生活や環境に関わる大きな変化と、それに伴う大きな痛みやストレスの一部を、喧嘩したり励まし合いながら、それなりにバンドで乗り越えたこと」だったように思う。
なんだよ、バンドの話なのにバンド以外のことかよ、みたいな感じですが、僕たちみたいな音楽だけで食べてないバンドマンは、バンドをしていない時、僕の場合は会社員をしているわけで、そういった一連の生活に関わる所業や苦痛やチャレンジや上手くいかないあれこれが、逆に音楽に大きな影響を与えていたりする。
そういったメンバー各個人の抱える不安や荒れを、叱咤したり励ましたり割と踏み込んだ形で関わったように思う。言い換えれば腹を割ったというべきか、同じ釜の飯を食べると言うか。
そういうメンバー間の関わり一つ一つが音像になって封じ込められた作品が、今作『MAGIC』なのだ。だから、魔法みたいなアルバムなんだと勝手に解釈している。乗り越えたり迂回したりして、今バンドが楽しいなって思えてる状況に至ったのが素晴らしいぞガストバーナー!痛みに耐えてよく頑張った!!感動した!!!という感じなのだ。
[3]Knife
さてここまでが、アルバムを楽しむための前振り。ここからが、16ビートはやおから見た曲の雑感になります。
良い大人達が「ナイフ」というタイトルでBPM232の曲を作って、はるきちさん曰く「中二病みたい」という歌詞を乗せ、レコーディングまでしているという事実だけで、すでに人生を目一杯楽しんでいると言わざるを得ない。
この曲を作っている間にどんどんBPMが上がっていった。「もっと速くていいよ!」とメンバーに言われる度「なんでみんなそんな速さを求めてるの?」と思いながら行き着いた先がBPM232の世界でした。
ジェットコースターは乗ったが最後、降りることができない。この曲もそれと同じで、最初から全力で速さを出さないと成立しない。なのでドラミングもリズムを食ったり食わなかったりとかいう変なギミックを入れておらず、とにかく最速ストレート一本勝負、あとは「曲の終わりまで体が持ってくれよぉ!」という祈りだけでドラムを叩いています。
ライブでは、もうパッションとアドレナリン頼りです。上手く叩こうとか、全くありません。体を壊そうとした結果、なんとか壊れてなかったな、体って丈夫なんだな〜、それくらいしかありません。この前自分のドラミングの動きにびっくりしました。人間辞めてる。
最近技巧派の上手いドラマーが多い世の中へのアンチテーゼとかでもありません。僕はこれしかできません。ただ全力でやっているだけです。サンシャイン池崎さんと同じような感じです、はい。
[4]アンダーワールド
ガストバーナーが初めて集まってスタジオに入り、初めて鳴らした音がこの曲でした。みそっかすというバンドがこの曲をすでにライブで披露して、この世に存在していたものをガストバーナーで鳴らすことになり、このバンドは始まりました。
初めて合わせた時点で曲はかっこよかったけれど、なんかもうちょっとやりようあるよねぇ、という形でしばらく塩漬けになっていた。
結成当初ではまだまだ分からなかったメンバーの個性、音、性格がある程度分かってきた段階でもう一度この曲に取り組み直し、ああ、もっとみんなのキャラクターをそのままぶっ込めば良いんだ、となって何だかしっくりくるようになった。
ドラムに関しては僕がずっとやってきて、現在活動休止中のEmu sickS『トランジスタ』でのドラミングを折々に入れ込んでいます。サビのフィルインは左利きドラマー専用になっているし、ドラミングの基本的な部分はみそっかすのジャンボリー加藤君(この前会った時にグミをあげた)のものだし、Emu sickSとみそっかすの合いの子だと思ってもらえれば良いのかなと。
はい、こんな感じで間話を挟みながらゆったり書き綴っていきます。週1回、途中『MAGIC』がこの世に放たれるのを挟んで完走したいと思っています!!ドラミングの参考にはなりませんのでご注意ください!ではでは。
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