異なる脳
[1]異なる脳
人間同士の齟齬。相手にどれだけ丁寧に伝えているつもりでも、言葉を尽くしているつもりでも、相手に歪みなく伝わっていない場合、意図していない伝わり方をしていた場合、それは誰の何が欠けてしまった結果なのだろうか。
人間は弱いのでできるだけ「言葉を尽くした自分は間違っていない」と思いたいし、大切にしている人ほどより「伝わっていて欲しい」という気持ちが強くなって、「そんなつもりで言ったんじゃないよ!!!」と相手に責任を押し付けてしまいがちになったりする。相手を大切にしているがゆえに、伝わっていて欲しいという気持ちの強烈な裏返しでもあったりする。
どんなに大切にしている人でも、脳も体も違えば他人であることには違いない。意図せず伝わってしまった場合、大切な人ほど意地を張らずに素直にごめんねというべきだし、そういう気持ちにさせてくれる相手は人生でそう出会えるものじゃないなとも思う。変に意地を張ることで、大切な人を簡単に失ってしまうことだってある。
[2]バンド友達
友達。バンドというのはとても不思議な集まりだなと思う。バンド同士はライバルでもあり、友達でもあり、先輩や後輩であったりもする。同じ規模感で動いていると定期的に出会えるけれど、どちらかの規模感があまりにも大きくなってしまったり、解散休止してしまうと途端に会えなくなったりもする。
ライブをすることそのものは、そういったライバルや、友達や、お客さんや、まだ見ぬ面白い誰かと会う口実を含んだ胸踊る約束だなと毎回思う。興奮したり、悔しくなったり、分かち合ったりすることが、人生そのものを豊かにしていく。
そしてバンド同士でなく、バンドメンバーはより濃密な不思議な集まりだったりする。それぞれの生活が違うから、それぞれ異なる価値観を保ちながら結構な頻度で会い、曲を作り、ライブをする。家族的な側面と、友達的な側面、クリエイティブなところでぶつかる仲間でもある。
バンドは色んな要素が相まって、異なる脳が集まってライブをしている。バンド友達もメンバーも、相当に大切にしているつもりでも、僕はまだまだ足りていないところだらけだ。バンドはまだまだ奥が深い。今世だけでは足りない。
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