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詩 ラストオーダー

※画像は「花咲るちあ」さんの作品です。

心が揺すぶられる歌。
私のオリジナルのなかでは、「ペイン」。いちばん本当の自分自身の姿と心を歌っています。

『ラストオーダー』

腹んなかに
思いをロールキャベツにして逝く

豚しか食べませんなどといわずに
牛のステーキも食っていると言えばよかった

エスカルゴといわれても
のんびりグツグツ煮込んでいれば
インスタントに燃えつきることもなかったろう

ちょっとばかり
善人を演じすぎた
だから胃が酢豚

まるでのびたラーメンみたいに横たわり
頼んでもないのに白装束のウェイトレスが
味気ないソースを運んでくる

生きるためには野菜や果実肉や魚
バランスよく食べなきゃいけません
わかっちゃいたけど注文どおりに来やしない

料理長が調理するものは
ずっと塩からいものばかり
さすがに胃のやつもお手あげさ
ストライキする気持ちもわかるってもんだ

そろそろラストオーダーの時間だな
だけど思い残すことはない

この店に訪れて本当によかった
たくさん料理を食べてきた
苦すぎて涙があふれたり
甘くて思わず笑みを浮かべたこともあったな

あの人との思い出だけは消化しきれてないが
それでいいんだ
牛のように反雛しながら黄泉の国にゆく……

           (了)

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「花咲るちあ」さんの作品です

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