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<小説シリーズ vol.4> 宿命 ~さだめ~

その四 “序”

地元ではまだ雪溶けぬ頃
真は都会に上京し、一人暮らしを始めていた。


高校卒業後の進路を既に決めていた真。
地元での音楽活動で自信をつけ
もっと大きな舞台を求めていた。
結果、親元を離れ
プロのミュージシャンという
目標を掲げ、上京したのだった。


一人暮らしの生活は決して楽ではなかった。
家事を一人でこなす大変さはこの時初めて知った。
当然母親の偉大さにも気づいた。
しかし真の性格上
清潔感のある生活は1週間と保たず、
変に、
「男の一人暮らしなんて、大概こんなもんだろう、、。」

と、勝手に世の中の男性を一緒にして
自らの言い訳を作り上げてしまっていた。

たった一人の生活を満喫し、
落ち着いた所で、 次は職探しを開始!


何の宛てもなく上京し、
計画なんてものも一切ない。
行き当たりばったりなのがいつもの事。


近くのコンビニで就職雑誌を購入し
取りあえず読みあさり、
いくつか候補を選んでみた。

しかし、
高校時代から遊び呆けていた為
資格なんてものは
自動車の免許のみだった。

という訳で、結局は飲食店のアルバイト を探す事にした。

一体いくつの店の面接に行ったのだろう 
数えきれないくらい通ったが
一向に決まらず、さすがの真にも焦りが見えて来た。
当初の目的であった『ミュージシャン』の文字は
全く頭から消えてしまい、必死になっていた。

そんな時、
一つの募集広告に目が止まる、、、

時給は安かったが
その頃になると“選ぶ”という考えが抜けていて
気がついた時には面接希望の電話をしていた。


再度訪れた軌跡というのか、真はそう思っていた。
見事採用される事となり明日にでも働けると告げると
翌日から働く次第となった。

仕事の内容は、“バーテンダー”
本当はホストみたいなものを想像していたので嫌だったがそんな立場にない自分を押さえ込み勤め始めるのでした。


いざ初めてみると、
これまた真の性格と相性が良く
お客様と酒を飲むことができたので
毎日のように酒を飲みながら仕事に没頭して行った。

この職場に勤め始めて1年以上が経過していた。
その頃になると真は店でも先輩という立場になり、
どんどん下から新しいアルバイトの子達が入ってくる。
そして、毎日のように仕事とは言え
浴びるように酒に浸り、
体内の酒が抜け始めると手足が震えだしてしまう
言わばアルコール依存症に陥っていた。


そんな中また、 
また何かが起き始めていた。

 
実際に真もそれを感じ取っていたが、 なんなのかは分からない。
それは、極々小さいもので頭の奥の方にしまい込んでいた何かだった。
しかし気にもとめず、お酒を飲む毎日をただひたすらに楽しんでいた。


その五につづく、、、、、次回をお楽しみにw



過去の読み返しはこちら

<小説シリーズ vol.1> 宿命 ~さだめ~
<小説シリーズ vol.2> 宿命 ~さだめ~
<小説シリーズ vol.3> 宿命 ~さだめ~

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