見出し画像

最高裁への挑戦☆近況報告。皆様の応援本当にありがとうございます。

 昨年秋に、AV事業者から起こされた名誉棄損訴訟で、衝撃の高裁判決を受けてしまい、相当凹みましたが、私は勇気を振り絞って上告を致しました。

 清水の舞台を飛び降りるような気持ちで上告したのですが、すごく多くの友人弁護士が支えてくださって上告代理人になってくださいました。

 そして、私の裁判を応援する会ができて、

多くの方が応援メッセージを下さっています。

 ぼうごなつこさんもまんがで事件を表してくださいました。

 また、被害当事者としてカミングアウトされ、一緒に活動してきた

くるみんアロマさんのサポートもすごくうれしいです。

呼びかけ人&賛同人の皆様はこちらで、温かいメッセージに本当に感謝です。感涙。。。


また、3月末には、和田真一先生、木村草太先生、上野千鶴子先生、宮本節子さんなどから、最高裁第三小法廷に意見書を提出いただくこともできました。


 皆様の温かいサポートに本当に感謝申し上げます。

 私はなぜ、清水の舞台を飛び降りるように上告したのでしょうか。

 私が見逃せないと思ったのは、判決の論理では、およそ社会で起きているありとあらゆる理不尽なことに対して発言すること自体が、名誉毀損に問われかねず、正当な言論、特に社会的弱者の声を代弁して声を上げることを阻害すると思ったからです。

 社会には理不尽なことだらけです。しかし、ニュースで逮捕報道や逮捕にも至らない告発が報じられたときに、その事象(例えばその個別事案ではなく、性暴力やDV、児童虐待、いじめ、パワハラなど)について「許せない」と声を上げること自体が、どんなに社会的な論評だと主張しても、元となった報道の個別事件の加害者(とされる人物)に紐づけられ、その人物に対する名誉毀損だと言われたら、みんな何も言えませんよね。

 私に下された判決の論理では、およそ、個別事件に端を発して何か発言をする事は、有罪判決が確定することを待たずして許されないことになります。

例えば最近の事例を例にとると、マリエさんの枕営業の訴えを報道で聞いたことに触発されて、

芸能界での権力を濫用して枕営業を強要する男性たちのふるまいで、どれだけ被害者が傷ついていると思うの?許しちゃいけない、加害者は全員処罰されるべき

とつぶやいたら、名指しされたS氏に対する名誉毀損が成立する、というのと同じ論理になってしまいます。おかしくないですか?

 よく考えれば、世の中でありとあらゆる理不尽なこと~性暴力やDV、児童虐待、いじめ、パワハラ、セクハラ、ブラック労働などは、究極的には犯罪に問われてもおかしくありません。そうしたことについて誰かが告発したり、報道をきっかけにSNSで感想を述べること自体、潜在的に刑事事件に発展する可能性がある以上、有罪判決が確定していないものについては第三者は何もコメントするべきでない、ということになったらどうでしょう?

 一般論であっても、きっかけとなった報道や告発に言及したり引用ツイートをすれば名誉毀損になってしまうとしたら?

 でも、数年後に仮に有罪判決が確定してから議論する、それまで一切の社会的論評を控えるのが正しいのでしょうか? その間に同種事件が続くかもしれません。特に子どもや若い女性が被害にあい、その被害も見えにくい、社会で共有されていないとしたら?

 ちょっと話はそれるかもしれませんが、翻って考えると、係争中の事件に関してのダイレクトな言及だって、自由に許されるべきではないでしょうか?裁判所が必ずしも正しいとは限らない、だから、声を上げる必要があるのです。

 例えば2019年3月の性犯罪に関する4件の無罪判決。おかしいという声が草の根で広がったからこそ、控訴された3件で逆転有罪判決となり、法務省で刑法改正が議論されています。みんなが声を上げることで社会がアップデートされるのです。

 無罪推定原則があるし、無罪判決が出ている以上、異論をさしはさむべきじゃない、コメントは許されない、というような一部論調に従ってみんなが沈黙していたら、社会問題として議論されることもなかったでしょう。それでよかったのか。あのまま、無罪判決のままでよかったのか。

 私は冤罪事件も弁護し、密室で誰も味方がいなくて自白し多ために犯人に仕立て上げられた人の無実を訴えてきたので、有罪判決がおかしいというキャンペーンをした経験があります。

だから、有罪・無罪を問わず、広く社会が裁判所の事実認定をウォッチして、人権の観点から公正な判断になるように声を上げる自由は尊重されるべきだと思うのです。

人権に関する問題について、確定有罪判決が出るまで沈黙すべき、という論調で社会的議論が封殺されることはあってはならないと思うのです。

 社会には理不尽なことが続く、名もなき弱者にできることは、声を上げて異議を申し立てること、勇気を出して声を上げた人を一人にしないで一緒に声を上げること、そのことが社会を変えることに希望をもって進むしかありません。その声すら奪われるような司法判断に「あ、そうですか?了解です」と言って裁判を終わらせることは私にはできませんでした。


 また、私が許せないと思ったのは、私の責任が認められるにあたって根拠となった事実の中で、

私がAV出演強要問題について被害者の実情を聞き取り、そのことを社会的に発信していたから、ということが判決で強調されていたことです。

そうすると、女性の権利について一生懸命に取り組み、声を上げられない当事者に代わって声を上げる活動をしていることを理由に、司法が、そういう人間には不利益に差別的な事実認定をしてもよい、一般人やメディア、公権力よりも表現の自由の保障を狭めてよい、容易に制裁してよいという論理を容認することになります。

 そのような論理は、広く人権活動をする弁護士や社会活動家、支援団体で活動する人たちを不当に貶め、その表現活動や社会活動を阻害することになりますし、将来の担い手もいなくなってしまうでしょう。

 被害当事者の声を聞いてその思いを発信すると罰せられるなら、みんな強い者の声を聞いて、強者の正義で言論をする方がよいということになります。そもそも強者の言い分を正義として語っていれば、バッシングされることもないし、お金もたくさんもらえます。いろんなところから責められ、経済的にはペイしないうえに、さらに罰せられるとなったら弱い立場の人を助ける「なり手」がいなくなっちゃいますよね。でもみんなが強者の味方になって、苦しんでいる人を見捨てたり見なかったふりをしたり、声を聞こうとしなかったらどうなるでしょう?

 未来に希望のバトンを手渡したい、私はそう思っています。声を上げる人たちの力でもっと自由で生きやすい社会を実現する、そんなバトンを次世代に渡したい。私がそんなバトンを落として試合放棄をしてはいけないなと思いました。

 というわけで、私としては、自分だけの問題ではなく、みんなの問題だと思ってこの裁判に取り組むことにしました。

 一度きりの人生ですので、悔いなく挑戦したい。毅然として生きていきたい。「声を上げる自由」についてしっかり一石を投じたい。そんな思いでいます。

 是非、最高裁が公正な判断をしてくれるよう、ツイッターをフォローして応援いただけると嬉しいです。

こちらのnoteでも裁判の様子をお伝えしていきます。

これまでの裁判の流れはこちらからご覧ください。


※ 裁判費用カンパのお願い

 最高裁に入ってから弁護団、支援の皆様が、様々な活動を展開してくださっています。是非カンパで活動を支えていただけるとありがたいです。

カンパの送り先
みずほ銀行横浜支店
普通 2340014
口座名義 預り口弁護士杉本 朗
(アズカリグチベンゴシスギモトアキラ)
★Paypayでもカンパを受け付けております。kazukoitomoon です。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?