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台湾旅行の前に読みたい 台湾書籍お勧め3冊

どうも台湾好きが高じて中国語勉強中の1610です。

2020年、みなさん海外旅行は計画してますか?
行ったことがある方もそうでない方も台湾旅行がおすすめです。

なぜなら2020年は台湾がアツい! からです。
総統選選挙のお祭り騒ぎも無事終わり、タピオカブームにチーズティーブームと台湾と日本の距離が史上マックスレベルで縮まった昨今、ぼくの勝手な予測では韓流の次は台流が来る! (…ほんまかいな)

強引な前置きはともかく、本当に台湾旅行を考えておられる方に「台湾に行く前に読んでおきたい書籍」を紹介します。一般的なガイド本ではなくあくまで「台湾を知るための読み物」の紹介です。

「台湾ってなんか中国と揉めてる国でしょ?」
「台湾ってむかし日本だったらしいね」

ぼくらの台湾への知識ってそれくらいですよね、残念ながら。

だけど台湾の空港に降り立ってムワッとした南国の空気を吸い込む前に、その歴史や文化を知ることは、旅を思い出深いものにするためにも大切なことです。

台北旅行して以来、そのカルチャーにどっぷりハマって3年。旅行だけでは飽き足らず、台湾関連本専用の本棚までつくるほど台湾本を読みあさった経験から、3つに厳選しました。なお下へ行くほどディープな内容になります。


「奇怪ねー台湾 不思議の国のゆるライフ 青木由香(著)」


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いきなりちょっと変な本です。

台湾を愛するあまり移住して十数年の著者が、美大出身ならではの独特すぎる感性で描く台湾生活のあれこれ。

 台湾人の電子レンジ恐怖症
 台北人の鼻毛問題
 台湾人と日本人の脚の比較

などなど奇怪ねートピックを扱っております。基本見開き完結、しかもページごとにレイアウトや配色が二転三転し、著者直筆の奇怪ねーイラストが蝶のように散りばめられています。

この本は台湾という土地の「色、空気、イメージ」を体現していると思う

台湾の街並みは独特でほかのどのアジアの国とも根本から違っています。

現代的ビル、戦後に持ち込まれた中国大陸各所の文化、日本統治時代の遺物、清時代風建築、雨の多い南国特有の深いひさし。

台湾人は、そんな多層的レイヤーを、意識的にか無意識的にか、南国的な大らかさ・自由さで共存させてきた。

一般的な「洗練」とは無縁。でも一貫した自由さが一周まわって個性的。ある意味「逆に洗練」されており、これぞ次の時代の美意識ではとさえ思ってます。

その奇跡的洗練を体現していているのが「奇怪ねー台湾」です。
統一感が全くないレイアウト、変なイラスト、マシンガンのような自由な文章。
台湾ならではのもの。

台湾の雰囲気を直感的に掴める。最初の一冊にぴったりです。


「美麗島紀行 乃南アサ(著)」


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イチオシ。小説家の乃南アサさんが書いた紀行本。

台湾各地を旅する紀行本という形を取りつつも、台湾を多角的な視点から検証するルポ風の随筆。台湾という島の過去、現在、未来を知るヒントが詰まっています。

ぼくがこの本が大好きなのは、著者の歴史に対する姿勢に好感が持てるからです。

台湾はよく「親日の国」と言われますが、「台湾は親日だから好き」というフレーズを聞くたびに、第一に日本は統治していた過去があること、第二に親日的な背景にある戦後の悲惨な時代を思い出し、複雑な気持ちになります。

ぼく自身まだまだ無知ですし、決して、日本人の一般的な台湾観を否定するつもりも資格もありませんが、そうした微妙な戸惑いを無視したくない思いがあります。

そんな曖昧で微妙な感情を、乃南さんは、白でもなく、黒でもなく、灰色のままていねいに拾い上げ、そのまま文章にしたためている。たとえば統治時代を生きた高齢の台湾人の話を聞く中でも、心を過ぎる日本政府が戦後彼らを見捨てたことへの慚愧の念を、読者に正直に打ち明ける。

特定の歴史観を押し付けるのではなく、あくまで簡単に審判することはできないというグレーの立場を保つ姿勢に、台湾への真に深い愛情と、作家としての、そして現代に生きる日本人としての誠実さを感じます。

そしてこの本が教えてくれることの中でさらに見逃せないのは、台湾人の歴史観・政治観は日本人以上に曖昧で捉えきれないということです。読み終わる頃には、台湾の置かれた複雑な状況への理解が一歩深まるはずです。

そして、きっとこの複雑な島をもっと知りたいと思わされるはずです。


「街道をゆく 40 台湾紀行 司馬遼太郎 (著)」



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台湾の政治と歴史、とくに日本との関わりを知りたい方にぜひ。1993年・94年当時の滞在記であるこの本は、先の「美麗島紀行」と比べると若干の時代的ギャップがあるのですが、そこが逆にこの本の価値だと思います。

今でこそ”ポップで若者にも人気な”旅行先である台湾ですが、戦後間もなく、暗い独裁政権時代に突入します。それは1987年まで続く「白色テロ時代」と呼ばれるもので、北朝鮮顔負けの独裁的政権下の暗い空気感の名残のようなものが、この本の書かれた1993,1994年には色濃く残っている気がします。

シリアスなテーマを扱いながらも流石の司馬遼太郎、テンポ良く読ませます。


おまけ: さらに深く知りたい方へ


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「台湾二二八の真実―消えた父を探して 阮 美妹(著) 」

暗いテーマなので敬遠されてしまいそうですが、台湾を知る上で二二八事件は絶対に避けられません。九份を一躍世界的に有名にした映画、侯孝賢「悲情城市」、BBCの「21世紀の残したい映画100本」にも選ばれ、シネマ旬報の「90年代ベスト外国映画」ベスト1にも選ばれたエドワード・ヤン「クーリンチェ少年殺人事件」。

台湾の巨匠映画監督2人の名作は、いずれもこの事件が深く関わっています。

なお、同著者の書いた漫画版もお勧めなのですが、残念ながらアマゾンでは高価な中古しかなく入手は難しそうです。


以上、まだまだ紹介したいのですが、まずは厳選してお送りしました。

反響があれば(いや、多分なくても)、「台湾を知るお勧め映画作品」なんかも作ってみたいです。

それでは、また。


おまけ

旅行にはKindle Paperwhiteがお勧めです。

本が好きな方にはこちらの記事もどうぞ。



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