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胎児を包む膜を「胞衣えな」と言い、僕は母胎の中で浮かんでいる赤子が、世に産まれてくる迄の映画のスクリーンに見立てている。

外部の色んな音が、心音と交わり、母の皮膚を通じて母胎内に不思議な音が響き渡る。
子の海馬には確かにその記憶が焼き付き、それがいつしか大人になった時に、ふと思いだす。
母胎という指定席で見聞きしていた胞衣の映画は、何十年後かに、錆色と化した血管によって縛られた緊縛の指定席で、一体どの様に描かれるのであろうか、僕は常々考えていた。

こんな映画があった。

真っ白な空に浮かべた大空への憧憬。鳥は羽ばたくという天賦を澱み無き空と共に、その一生を輝かせる。

それは漆黒の闇に包まれた光と影の虚構劇場の中でも起こりうる事であり、
あさぼらけに平和の象徴と掲げられた鳩を見殺しにする奇術師は、一本の縄を用いて空へと昇っていった。憧れであった空へ、一本の縄で昇っていったのだ。

それから奇術師は空へ憧れた男としてこの世に還る事が無かった。奇術師は映画の中で大空への魅力によって拐われた行方不明者となったのだ。 人類が初めて空へ飛び立ったのと共に、スクリーンには終演の文字が流れ、場末の劇場に灯りが灯ると、座席には奇術師の妻が座って居て、還る筈もないであろう奇術師を、虚構の光が遮られようともずっと待っていたのであった。

僕は場末の映画館の隅に座り、客電がついても、その緊縛の指定席から離れなかった。離れられなかったのだ。

映画はこれで終わりでは無く、いつかスクリーンの中の垂れ下がった一本の縄から奇術師が降りてくるのではないか。 蜘蛛の糸は天界から地獄へと糸を吐くが、果たして虚構の空は天国なのであろうか。

映画の空は沢山の愛を築くと同時に、沢山の死人を弔う弔砲も北の空へと向けて撃った物だ。奇術師は天界ではなく、自らの死に場所である自分を探し、地獄である空へと昇ったのかもしれない。

虚構の天変地異とはまさにこの事で、再びとある映画で描かれるのであった。


と、ここで種明かし。実はこの映画は実現するものでは無く、僕が書いた「弔砲の記号」という、過去にストロベリーソングオーケストラで行った戯曲に登場する映画の1シーンである。映画の中で、男は更にこんな風に問い掛けてくるのである。

スクリーンと空は母をイメージする。
漆黒の闇は母の肉壁であり、肉の内部で夢を映す。

揺籠となった劇場は胞衣によるスクリーンに、空の記憶を映し出し、醜い大人になるまで空を飛び続ける映画を作り出すのである。

空には何があるのだろうか?
空には?

緊縛の指定席という胞衣のスクリーンで、僕は語り続けるのであり、胞衣の劇場は、いつまでも続く大空のスパイラルなのである。僕も50歳にはなっってみたが、まだまだ人生の続編を書いていかねばならない。それがグロテスクナンセンスと言われ馬鹿にされようと、自分の指定席を見つけるまでは…



さて、雨の日ポエムは置いといて、僕はと言いますと、連日、公演の作業に追い込まれておりまして、これが完成した暁には、たらふく酒を呑んでやる!と鼻息荒くPCのキーボードをギチギチ叩いておる訳デスが、そんな胞衣の劇場をテーマに作品を作っているストロベリーソングオーケストラ&瀉葬文幻庫の公演のチケットがまだまだ取り扱い中といったなんともな状況なので、僕のモチベーションをあげるためにも皆さん早めにチケットを確保しておくれ!というプロパガンダでございます。

怨塊禁書
怨塊禁書

チケットはパスマーケットにて購入になります。
(予約ではありませんのでお気をつけください)

こちら、瀉葬文幻庫主催『怨塊禁書』なんデスが、まあ、台本を書いたのは僕なんデスが…さ、作業量が過去イチエグくて吐きそうデス(涙)そんな明日は昼からスタジオ!(しかもスタジオは夜もベリーが控えているので、昼スタジオ後は飲酒できず!)
沢山の人に観てもらいたいので、皆さん是非7月6日、宜しくお願い致します。

そして、ストロベリーソングオーケストラ。
こちらは8月に単毒公演が控えております。

夜雨に帰ル、Ame-1:50

こちらのチケットは年内で契約が終了となってしまった味園ビルにて店舗を構えておる秘密倶楽部アニマアニムスでのお買い求め、もしくはストロベリーソングオーケストラの公式通販サイトからお買い求めできます。

こちらの稽古もすでに始まっており、毎度の如く、役者の皆さん稽古場で奮闘しております。こちらの作業もかなりの情報量でして、僕のドッペルゲンガーがあと108人欲しいところ!そのうちの49人はチョコザップに逝かせる!!

最新ニュースとしましては、ストロベリーソングオーケストラの五芒星Tシャツが復刻したとのこと。
フロントに大きな五芒星、バックには鏡町の住所も載っているので、記憶喪失になって田舎町に流れ着いてもちゃんと鏡町に怪帰できるスグレもの。

サイズも大きめになり、色も定番のブラックになりました。こちら、まだ持ってないやってな人は勿論、持ってるけど2枚目、3枚目…108枚目が欲しいな!ってな奇特な方も是非お買い求めください!

ここからは毒者限定記事デス。
ここ最近大量に発掘されている過去犯行影像からお届けします。

今怪は2019年に行われた心斎橋サンホールでの犯行影像デス。
合唱部・釵刺灯こと灯イェーが一旦鏡町に魂だけ残して、幽体離脱することとなった犯行の記録影像デス。この時はストロベリー、今後どうなるんだろかと胃がキリキリしておりましたが、今ではまた共に歌ってくれていますもんね。ありがたい限りデス。

それでは特典影像、どうぞ!!

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この【仮分数のヒトビト】では、ストロベリーソングオーケストラや伝説のコント集団・ストロベリーソングオーケストラ野球部、僕が飴彩里沙羅と行っている瀉葬文幻庫に纏わる秘話、そして毎回何かしらのレアな付録が憑いてきます。 共犯者の方は生ビールを一杯呑んだつもりで定期購毒、毒者と成り果ててください。(月に4~5怪の更新になります)

お憑かれ様デス! このマガジンでは関西アンダーグラウンドシーンで活動する、見世物パンク一座・ストロベリーソングオーケストラの座長である【…

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