その時受信トレイで起こっていること

メール配信は自社のアピールを主に考えてしまうと、顧客のエンゲージメントが形成されないどころか下がってしまいます。最近、私の受信トレイもSEOやリスティング広告のメールで埋もれているため、そのようなメールは優先度低フォルダに振り分けられるように設定しています。恐らく多くの人が同じような対応をしていると思います。

それにもかかわらず、メールアドレスをこまめに変えて送ってくる会社も増えていますが、その場合メールの送信回数が増えるほど顧客のエンゲージメントが下がる傾向があります。

意思決定の裁量がある人やプロジェクトの中心となる人(意思決定者、チャンピオン、キーマンなど)は組織内でも影響力のある立場であり、そのため調整事や意思決定、相談、報告など、タスクの量も多いです。受信トレイすら見る時間が限られています。その中で、緊急性と重要性を判断し、合間を縫ってメールを確認し、受信トレイ内で直ぐに返信すべきものやそうでないものを分別しなければなりません。コア業務に関係のないメールはまず見ないようにしています。結果として、大量の判断を下す負荷を減らすために、現時点で優先度の低いメルマガはフォルダへ振り分けを行うようになります。それでもメールアドレスを変えてターゲティングメールが受信トレーに届くと、オプトアウトをすると同時に、悪い体験が脳裏に残ることになります。ジャーニーに沿わないタッチポイントを形成したことによるエンゲージメントの低下です。

CX(顧客体験)を考えずに営業プロセスが断片化している企業では、特に顕著です。マーケティング担当者はコンテンツの発信数、開封数、クリック数を重視していますが、カスタマージャーニーを考えると、本当にそのメール1通が顧客にとって最適な内容なのか再考する必要があります。そうすることで、「ABテストを行う」「総開封率/クリック率をKPIに設定する」といった考えにはならなくなるはずです。

今一度、リード1つ一つが人であること、またその人のジャーニーが存在することを念頭に置き、KPI設計を行うことが重要です。
開封率やクリック率ではなく、「その人に読んでもらえたのか」です。

もはや一括送信は時代遅れなのかもしれません。

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