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収集癖のある利用者支援(失敗談)

連日寒い日が続きますねぇ・・・。寒いの苦手なんですよ・・・。

寒いといつも以上にネガティブな考えが頭に浮かんできて・・・。

午後、ASD関連の本を読んでいた時、ふと過去の失敗例が頭に浮かんできたので戒めを込めて書くととしました。


以前、かなり収集癖の強い利用者(以後Aとする)の担当をしたことがあります。

どのくらいすごいかというと、店にあるチラシや他の利用者の衣類や歯ブラシはもちろん、作業中に時分の福に付いたゴミまで集めて部屋にためてしまうのです。部屋の掃除も嫌がり(自分のためたものを捨てられるから)、埃がたまった状態でした。
部屋の掃除などを行うと、落ち込んで、嫌だから施設を出ていく、と言って施設外へ一人で出ていく(しばらくすると帰ってくる)こともしばしばでした。

Aの担当となったときに、まず行ったのは、不要なものを破棄して部屋の整理を行う、今以上に持ち物を増やさないためにはどうしたらいいか、ということでした。
なぜAが物をため込むのか、そこにはほとんど注目しなかったんですよねぇ・・・。

不要なものを破棄するにあたり、僕はAと一緒にどれだけの“物”を持っているか確認しました。そのうえで、Aに必要なものと必要ないものを分けてもらったのですが・・・。もちろんAが必要ないと思っているものはなく、この方法はあえなく失敗しました。

そこで、明らかに必要ないだろう、と僕が考えるものを廃棄する旨をAに説明しました。もちろんAは納得しなかったのですが・・・。

Aは新聞を定期購読していたので、部屋には古新聞が多量に置いてありました。
僕はまずはそれを古紙としてリサイクルに持っていこう、と考えました。
それをAに相談すると、残しておきたいページがあるから捨てたくない、と返事が返ってきました。
そこで、残しておきたいページは切り取りスクラップブックとすることとして、それ以外は破棄することを提案しました。Aはあまり乗り気ではなかったのですが、僕が半分強引に実行して、古紙として新聞を処分しました。
Aと一緒に古紙収集業者で新聞をお金に換金し、それをAに見せたときに、少しうれしそうな顔をしていたが、その後もAが進んで新聞を整理することはなく現在に至っている。

次に手を付けたのが、埃や小石などがたまっている部屋の掃除である。
これもAは渋ったのだが、埃がたまっていると火災の原因にもなるし、アレルギーなど体への影響もある、と説明し行った。(かなり強引であったが・・・)
掃除の後で、Aが施設外へ無断で出ていった・・・。(もちろんしばらくして帰ってきた)

掃除の跡は、店などで収集したチラシなどの整理をしたのだが・・・。
これはかなり大変で、段ボールや引き出しに無造作に突っ込まれたチラシなので、必要ないと説明(かなりきつく伝えた)し、ほぼ本人の同意がとれなかったが破棄していったが・・・。Aがかなり不安定となったので、それは途中で中止し、必要なチラシをためておくBOXを用意しそれに入る限りはチラシを貯めておけることとした。現時点で所持しているチラシはAに必要なものはBOXへ入れてもらった。時間をかけてチラシを仕分けしてBOXへ入れて、いれなかったものは破棄した。今後はチラシを持って帰ったらそのBOXへ入れる、入らないときは持ち帰ったチラシを捨てるか、BOX内のチラシでいらないものを破棄して新しいチラシを入れる、という約束をしたが・・・。
これは僕が強引に同意をとった約束であり、それが長期にわたり守られることはなかった。Aはチラシを持ち帰った後に決められたBOXには入れなったし、担当が変わってからは強引なやり方に批判も出てそれが中止となったからである・・・。

このほかにも、私物の整理を行っていった。担当として行っていた時は、それが必要だしその方法しかやりようがないだろう、と考えて行ったのだが・・・。
担当から離れて、ASDについて少し知識がついた今、当時を振り返ると、支援としては全くダメだったなぁ・・・、という思いである。

Aが収集を始めたのがいつなのか、詳しく記録に残っていない。しかし、収集が始めってからも、そこに対して何らかの支援が行われたことはなく・・・。年に2~3回、身辺整理が行われていただけであった。
僕が担当になり持ち物整理に力を入れたとしても、Aからすれば、なんで今更それをしないといけないのか、という思いもあったと思います。

ASDの特徴として、常同性の保持、があり、収集する行動や収集した“物”が常にそこにあるほうがAは安心して生活ができたのだと思います。
現在あるものを破棄して整理するのではなく、現在あるものを保持したまま、今後不要なものが無尽蔵に増えていかない方法を検討するほうが、受け入れが良かったのではないかと考えます。

それに、なぜAが物を収集し貯めこむようになったのか、その背景を考えることをせず、ただ処分していく・・・、という短絡的な行為を行った点もよくなかったなぁ、と思うのです。
Aが収集する理由や、収集したものを貯める思い、にたいして少しでも考えを巡らせることが出来たら・・・。
もしかすると、現在の状況が変わっていたのかもしれません・・・。

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