恋歌―秋


天ひたすらに高く いや遠に
朽ち葉の裏の虫の身の
いまにいまに かろくまろび
風と共に旅せんよ夢見んよ
褥にて君がため 衣片敷き
袖分かつこの宵の 月すらもささめき
ひとりねをゆるさぬこと
心憂し うきしずみ指を逃れる水面の月
遥かにめぐり 拳をそれる天上の月
君のごと 夢のごと

奏で送る歌いかにせむ
君の国いづかたいづこ
愛の言葉はいかにせむ
君の故郷いづかたいづこ
遊べる人に口伝えむ
遊べる鳥に泣き伝えむ
うらあおく高き空
君とおく君はるか


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