さようなら

画像1 ほんとうは森に隠居したかった。最初は、まちかあ、家ばかり、ひとだらけと思っていた。歩いてすぐのところにコンビニ、その先には季節ごとに色々な虫たちに会える森みたいな公園。公園の中の山を上って下れば駅前の商店街にたどりつく。はじめて借りた一戸建ての屋根裏にはハクビシンが棲んでいた。すみませんねと追い出してからいつの間にか11年が過ぎていて、いつの頃からかねずみの一家が暮らしている。もうここはねずみのものになったのだね。さようなら。いい家だった。いいまちだった。