文化祭へ行く
10月のある土曜日。
息子の高校の文化祭へ行ってきた。息子は通信制高校の1年生。文化祭は、前半後半に分けられていて、息子は前半、午前中だけの参加になる。
その日は、朝一番に両親の病院の付き添いもあったから、どうがんばっても小一時間しか参加できない。それでも、一度くらいは行ってみたいし、来年に期待しても行けないかもしれない。コロナ禍を過ごして、そういう意識が強くなった。
両親を家に送り届け、駅へと急ぐ。階段一段飛ばしで、駆け上がり、なんとか予定通りの電車に乗り込む。高校の最寄駅から、また一走り、なんとか11時半前に高校に着いた。息子に「着いたよLINE」をして、息を整える。一番興味がある、4階の川柳コーナーで待ち合わせることにした。
もうすでに、足が限界で、エレベーターを使わせてもらう。生徒さんたちの川柳を読んでいたら、息子がやってきた。どうやら、1階の受付まで来てくれていたらしい。わたしを探し、階段を何度も行ったり来たりしたときく。「かあさん、なんでエレベーター使ってんの!」「ごめんごめん」思わず、謝る。生徒はエレベーターは使えない。でも、保護者は使える。ちょっと後ろめたい。わたしを確認した息子は、すぐにまた友達のところに戻っていった。
川柳コーナー。全校生徒の川柳がずらりと並ぶ。口にはできない好きな人への想いや、推しへのあふれる愛、残り少ない高校生活のこと、進学の漠然とした不安や、家族への想い…中には、「川柳を作るのが試験より難しい」なんて、書いている子もいる。匿名だからか、素直な気持ちが綴ってある。
じっくり読ませてもらった。なんだか、ほっこりとした。息子は、姉が遠くなった気持ちを書いていた。そういえば、日頃はあまり意識しないけれど、娘抜きで日帰り旅行に行ったとき、車の後部座席で、隣に娘がいなくて、さみしいと言っていたっけ。
川柳コーナーを後にし、ダーツコーナーへ。前に並んでいる、女の子ふたり、「ダーツが的まで飛ばない」と話している。「なるほど、そういうこともあるよね」と、思わずうなづく。何度目かのチャレンジ、今度は的に当たりますように!結果は、ふたりのうち、ひとりが最後の矢を、的に当てた!喜び合うふたりがかわいいな。わたしは3本中、2本を当てて、お菓子をいただく。
他のコーナーは、やたら混んでいたから、入るのをやめて、バザーや物販コーナーを見てまわる。パンを2袋、フランクフルトを1本買った。小腹が空いていたから、その場でフランクフルトをいただく。近くにいた、フランクフルト係の男の子たちが、昨日の雷について話している。食べながら、「そうそう、昨日の雷はすごかったね」と、勝手に、会話に気持ちだけ参加してみる。
それから、苦手なお化け屋敷をスルーして、今度は階段を使い、校内をうろちょろしていたら、息子とすれ違った。お母さんだとわからない方がいいかもと、素知らぬふりをしようとしたら、向こうから手を挙げながら、「よっ!」と。気づいたら、わたしも手を挙げて、「よっ!」と返していた。
息子の担任の先生も見かけたけれど、忙しくしてみえたから、声をかけずにおく。体育館にも行ってみたが、バンドの演奏やコスプレ発表会はすでに終わっていた。ちょっと見たかったけど、私が来たときにはもう終わっていたみたい。あとは、だいたい見て回れた。
文化祭終了後、息子は、「ちょっと遊んでく」と言う。わたしは、息子の冬用のベストを買いに行くことにした。高校から、15分ほど歩き、ようやくお店に着いた。そういえば、サイズはなんとなくわかるけれど、色はどうしよう。来てから、そんなことを思う。息子に聞いても、「なんでもいい」と言うし。結局、無難な濃いグレーにした。
それから、栗おこわと栗きんとんをお土産に買った。わたしは栗が苦手で食べられないけれど、家族の大好物だから、年に一度は買うことにしている。帰り道、これから駅まで15分ほど歩くのは、ちょっとしんどいなと思っていたら、偶然、ローカルバス乗り場を発見した。100円で、駅まで乗れる。ありがたいなぁ。
バスを待つ間、周りの方々と世間話をして過ごす。このバス、10月いっぱいで廃線になるそう。「困っちゃうわ」の言葉があちこちで交わされる。相槌を打ちつつ、薄着で来たから、風に吹かれて、体が冷えてきた。そんなとき、タイミングよく、バスが到着。ホッとした。
駅で、息子と合流して、長崎ちゃんぽんを食べる。外食苦手な息子は、スモールサイズ、わたしは麺少なめサイズ。食べずに帰宅できたら、よかったけれど、わたしが無理だった。わたしは、空腹になり過ぎると、シャットダウンするみたいに、全く動けなくなる。フランクフルト、食べたんだけどなぁ。
息子はそれでも食べきれず、わたしが残りをいただく。麺少なめサイズを頼んどいてよかった。お腹も満たされ、気力も回復。それから、1時間ほどかけて帰宅した。
文化祭、息子もわたしも、元気に行けてよかったなぁと、あとでしみじみ思った。
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