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草取り日和


 草取りをしている。
 薄曇り。風はそよそよ。草取り日和。

 2、3日前は、日差しが強く、初夏の陽気だった。春がひとっ飛びで、行ってしまいそうで、少し心配していた。このところの夏の暑さ、尋常じゃないと思う。春には、ゆっくりしていてほしい。

 丁寧に、ひとつひとつの草を鎌で刈り、根をなるべく取る。土の中から、虫が出てくる。穴からは、カエルが飛び出してきた。小ぶりなアゲハ蝶が、ひらひらと菜の花の周りを舞っている。春だなぁ。

 この場所には、人参と大根が植っていた。収穫が終わった畝の所々に、ノースポール、ホトケノザ、カタバミなどが生えている。

 春先からもう何回か、草取りをしているが、すぐに生えてくるのだ。カラスノエンドウをカゴ3個分、息子と一緒に抜き取ったのは、2週間ほど前。それから、生えただろう草花を、容赦なく、全て抜き取っていく。ほんの少し残っていた、わけぎも抜く。父に、トラクターで耕してもらうためだ。

 草で、目立ってきたのは、メリケントキンソウという、外来種。繁殖力が強く、根が強く、横に広がり、草取りがやりにくい。まわりの土ごと、取り尽くすのだが、気がつくと、また、あちらこちらに生えている。ほんの小さいうちに、刈らなくてはならないが、春からの草の成長は恐ろしく速い。

 草がずらりと生えているのを、見続けると、うんざりして、永遠に終わらないような気分になってくる。だから、わたしは後退りしながら、草取りをすることにした。自分がきれいにした部分が見えて、気持ちがいい。達成感が、ずっと味わえる。

 もくもくと草を取っていると、無心になれる。土と草、花の匂いが混ざる。風と日差しを感じる。自分の身体がテンポよく動いて、目の前の草がなくなって、スッキリとしていく。ずっと、屈んでいると、腰が痛くなるから、時々は、空を見上げて、うーんと背伸びをする。

 また、時間を区切って、だらだらと草取りをしない。「用意、どん!」で30分くらいの時間、無我夢中で草取りをして、やり足りないくらいで、やめる。短いスパンで、何回か繰り返す方が、わたしには向いている。進みは遅いが、嫌にならないことが大切だ。

 雨の日はお休み。雨の次の日は、草が取りやすい。面白いほど、草取りが進む。草取り名人気分が、容易に味わえる。

 今年は、両親に教えてもらいながら、息子と一緒に、夏野菜を育ててみようと思っている。ピーマン、ミニトマト、なす、きゅうり…

 考えると、ワクワクしてくる。今年はいつもよりも張り切って、草取りもできそうだ。

 抜いたノースポールを、花瓶に生けた。もう少しだけ、咲いててくれるかな。



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