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せめてお昼ご飯を




 トマト煮を作っている。

 朝から、やけになりかけ、そんなんじゃ嫌だと思い、お腹が空いていたことに気がついた。だから、トマト煮。

 今日は、ナスがメイン。ナスを洗い、一口大に切り、塩水につけていく。鍋に、にんにくのみじん切りを入れ、オリーブオイルを切らしていたから、米油をたんまり入れる。

 ナスの水気を切り、鍋に入れて炒める。お砂糖少々、玉ねぎと角切りにしたベーコンも投入。ボールいっぱいのミニトマトを洗い、ヘタを取り、半分か四分の1に切った。ナスがしんなりしてきたから、トマトをザッと入れる。トマトペーストとケチャップも入れ、お水も少し入れて、昆布も入れて、しばし煮る…味付けをして、完成。

 ちょっと、冷静になった。寒天ゼリーも作っておこう。

 まず、3つのタッパーに、ナタデココと切ったパイナップルを入れた。小鍋に水300mlを入れ、粉寒天を4gほど入れ、混ぜながら、沸騰させる。沸騰したら弱火にして、混ぜる手をやめず、2分ほど。それから、火を止める。きび砂糖を適当に入れ、よく混ぜてから、100%オレンジジュースを300ml入れて、またよく混ぜる。それを、タッパーに均等になるように入れた。冷めたら、冷蔵庫へ入れよう。

 トマト煮も寒天ゼリーも、息子の好物だ。

 昨晩、息子に思いっきり言葉を投げつけてしまった。それから、話ができていない。息子は自室に閉じこもっている。無理もない。でもさ、もう限界だったんだ、わたし。もったいないって、思ったんだ。我慢ができなくなったんだ。

全てを、どうして悪い方ばかりに考えるの?
体調が悪いから、しょうがないの?
誰かに救ってもらいたい気持ちなんだよね。
ごめん。わたしには救ってあげられない。

あなたを救えるのは、あなたしかいない。
厳しいこと言ってる。とってもとっても。
最近、わたしができるようになったことを
17才のあなたに強いてる。
でもさ、あなたならできるって
思うから、言うんだ。

何年も何年も体調不良と付き合って
思うようにならない身体と向き合って
すごいと思うよ。
とってもとっても、がんばっているよ。

だけど

もうがんばれない。
もうお終いにしたい。
その気持ちをわかりたくない。
腐っていたって変わんない。

まっさらな未来をあきらめないでほしいんだ。
何を選ぶか、自分で決められる。
この世界は、あなたがどう見るか、どう関わるかで変わる。
何かを待っていたって、やってこないよ。
自分で動かないと。迎えに行かないと。

何か道があるはずだ。きっとあるはずだ。
何かが待っているはずだ。きっとそうだ。

謝らないよ。
わたしがいなくなっても、
あなたが生きていけるように
なってほしいから。

あなたが気にしてること
わたしにはどうでもいい。

立派にならなくたっていい。
歴史に名なんか残さなくていい。
勉強なんかできなくたっていい。

ただ楽しく生きてくれたら。
笑顔でいてくれたら。
今は無理かもしれないけれど。

それがあなたにはできるから
そう見込まれているから
苦労が多いのかもしれない。
うれしくないし
何かを恨みたくなるよね。

産まれてこなかったらよかった…

そうか。
でもわたし
あなたを産んだこと
これっぽっちも、後悔はない。

素敵な人だと思う。
母でなくてもそう思うと思う。
もったいないよ。

あなたができないと言っても
わたしはできるって信じてる。

わたしはそばにいるしかできない。
それしかできない。

今は
それすらできてないけれど…

あぁ。
悔しくて悔しくて、涙が出てくる。
自分が不甲斐なくて。

全く息子の気持ちに寄り添えてないじゃん。
自分の気持ちを、ただ押し付けただけだ。

せめて、お昼ごはん、食べてくれたらいいんだけどな。でも、届けてはあげない。自分で食べにきてほしい。

もう、めちゃくちゃだな、わたし。



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