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ぼこぼこでキラキラ


 最強寒波がやってきた。
 雪や風が止んだ、明くる朝のこと。

 いつものように、散歩に行く。10年に一度の世界、ワクワクする。

 トレッキングシューズにロングのダウンコート、首にはマフラー、手袋はボア付き。いつもは、こんなに着込んだら、あっという間に汗だくになるほどの防寒。更年期に差し掛かり、冬でも身体はほかほかだ。それでも、今日は寒さを感じる。

 玄関を出た。ポーチはしっかりと凍っている。手すりにつかまり、階段を降りて、恐る恐る道路に出る。

 からりとした空気。寒い。

 地面には、雪がうっすらと積もっていて、それが凍っている。車のタイヤ跡はスケートリンクのようにつるりとしていた。

 地面はカチカチ。踏むとザクザク、パリパリと音がする。足元に気をつけながら、歩く。それでも、何回か滑りかけた。ちょっと、笑えてくる。転ばないように、慎重に歩く。

 歩く先にある、ぼこぼこと積もった雪が太陽の光を受けて、キラキラと光る。写真には映らない。不思議だ。

ぼこぼこでキラキラ


 空を見上げた。

 この空気、知っている。スキー場に行ったときに感じた、乾いた冷たい空気。もう20年もスキーをしていない。子どもたちも大きくなったし、また行けたらいいなと思う。

 太陽が登ってきた。太陽の光で、ほんの少し身体が温まる。見上げると、風に吹かれた細かな雪が舞っている。幻想的だ。

 いつもの散歩道を行く。

 水が溜まっている休耕田は、凍った上に雪が粉砂糖のように積もっている。葦原にすずめが逃げ込んできた。後に続くのは、小型の猛禽類のようだ。しばらく、上空を旋回していたが、あきらめて去っていった。

休耕田
粉砂糖みたいな雪


 わたしは歩く。

 どこからか、学校のチャイムが聞こえてくる。
 遥か遠くの空は雪雲で覆われている。

雪雲


 30分ほど歩き、うちへ帰った。

 庭先のビオラのつぼみが迎えてくれた。

咲きますように





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