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今日の1冊vol.6《おとなりの晴明さん 第6集》

本題の前に少し雑記を。

およそ二か月ぶり(!!)の書店は、もう幸せと最高の二言だった。

久しぶりに目にする、天井近い高さのある本棚に軽い眩暈を起こしそうになりながら、先ず新刊コーナー、ついで既刊の本が並ぶスペースに移動し、背表紙を隅から隅まで、それこそ舐めるように(自分のことながら引く)眺める、まさしく至福の時間。

たらふく買い込むぞ!と意気揚々と赴いたはいいものの、購入した本は二冊のみ(もう一冊目当てのものがあったのだけど書店に在庫なし。結局我慢できずに後日ネットでぽちり。わくわくしながらこの記事を書いている)。

久方ぶりのマガジン更新の一発目は二冊のうちのひとつ。

季節はとうに過ぎてしまったけれど、表紙のうつくしさよ……!!

改めて眺めて、惚れ惚れする。

濃紫に白の直衣(で良いのか?)を重ねた晴明さんの麗しさ、白一色の花嫁衣裳姿の桃花の可愛さ、狂い咲きという文字が脳裏をよぎる色鮮やかな枝垂れ桜。

幸い休日だった翌日を一日をまるごとあてて一気読み。

綴られる文章から伝わってくる作品世界の雰囲気がもう、たまらなく好きだ。

人物造形ももちろんのこと、情景描写も素晴らしすぎて。

藤の花を「紫水晶のかけらのような」と表現している箇所に、なんと素敵な…!とうっとり。

表現のひとつひとつの密度が濃いというか、一見さらっとしているのに、ぱっと風景が脳内で色彩付きで再生されて、とにかく美しいのだ(語彙力が足りぬと歯噛み)。

それぞれに一筋縄ではいかない事情を抱えているあやかしとひとに注がれる、やさしさの中にひとしずく、厳しさも混ぜたまなざしがとても心地良い。

あまり書くとネタバレになりかねないけど、桃花の母君の考え(若しくはスタンス?)が少しびっくり。

意外と晴明さんの正体にも目星をつけているのでは?と心配になってしまう。

晴明さんと桃花の関係の変化も見どころなのだけど、個人的に篁と時子のやり取りや様子がもう……最高……。

これでもかと甘やして、茜もそんな彼を揶揄いつつ、存外あたたかく見守っているのかもしれないと、色々想像する。

ふたりの行く末に幸多からんことをと、心から願わずにはいられない。

8月に7巻が出るそうで、今から楽しみでならない。



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