はじまりの場所
通勤途中、ふと視線を上げて、虹を見つけた。
雨上がりの、まだ薄い灰色の雲が残るものの、澄んだ美しい青に、ゆるい弧を描いて、虹がかかっている。
たぶんあの辺りがはじまりかな、と見当をつけて歩を進めるけれど、いっかな距離は縮まらず、それどころか、どんどんその場所は曖昧になっていく。
小学生のときだったろうか、教科書に載っていた吉野弘さんの詩が脳裏に浮かんだ。
自らが虹のはじまりだとは知らない場所。
自分がもしその“場所”であったなら、誇らしさに胸を張るだろうか?それとも、誰にも知られませんようにと願うだろうか?
分からないけれど、こうして虹を眺める身としては、その始まり方を見せてほしいとも思う。
今日も一日、頑張ろう。
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