「エコほど素敵な商売はない」ノート

第3回「EV自動車ワイヤレス充電」

私の出身地は兵庫県の淡路島だ。瀬戸内海気候で温暖だが、最近は御多分にもれず猛暑に苛まれている。島内で唯一測候所が置かれている郡家観測所では、今年40日連続の猛暑日を記録した。
このように気温は上がっているが、雨が少なく、日照時間が長いことから、農業は水不足に悩まされ、それを解消するために、島内の至るところに「ため池」が作られ農業用水の確保が図られた。
地形的には南は徳島県が指呼の間に望まれ、東は大阪湾、西は播磨灘に面している。つまり太陽は東浦に上り、西浦に沈むのだ。ヤマト政権の国生み神話のベースになり、天照大神の両親とされるイザナギ、イザナミ二神をまつる伊弉諾神宮は、体よく日の沈む西浦に追いやられ、日出所の東浦には、天照大神を祭神とする「伊勢久留麻神社」がヤマト政権によって設けられ、国生みの二神はある意味で幽閉の身となったのだ。

淡路島の骨格となった国道28号
この東浦と西浦の構造は戦後自動車が生活の基本となってもかわらなかった。昭和27年に制定された国道28号は神戸市の神戸駅北側ガードから、徳島市のかちどき橋南詰までの157Kmに及ぶ道路だが、淡路島内は北の岩屋から南の福良までの約52Kmだ。これが淡路島を貫く背骨とすれば、西回りの県道はどこか影が薄い。
これに明石海峡大橋が完成した時、同時に開通したのが高速道路の「神戸淡路鳴門自動車道」だ。高い高速道路代を嫌って、輸送トラックなどは島内に入ると国道28号を走る車も多い。つまり近代的な高速道路はできても、いまだに国道28号が島内の移動の中心なのだ。これは言い換えれば、今でも国道28号に大きなポテンシャルがあるという事だ。

国道28号をEV用ワイヤレス充電道路にする
淡路島内の国道28号淡路市岩屋から洲本市炬口、そこを経由して福良までの52Kmだ。岩屋から炬口までは島の東浦の海岸線を走り、炬口から福良までは平野部を横断する。つまり岩屋から炬口までの約30Kmは、夜明けとともに陽光が照り付ける「太陽光発電適地」だ。しかも東浦海岸の淡路、洲本市とも年間日照時間が、約2200時間もあり、兵庫県では有数の日当たりのよい土地だ。
したがって、海岸線を切り開いた崖地に太陽光パネルを敷き詰めたうえで、防風フェンスをかければ,台風をはじめとする強風から守ることもできる。そしてこのEV自動車ワイヤレス充電の利点は、太陽光発電と走行中のワイヤレス充電を融合させることで、停車中充電よりも10倍以上電力を効率的に吸収出来ること。また、こうしたワイヤレス充電であれば、送電線につなぐ必要がないため、太陽光発電がピークになる昼間に発電量が需要を上回り、出力抑制を行う必要がなくなる。約30Kmのワイヤレス充電ゾーンを走っているうちに、およそ20~30Kwの充電が可能だ。

淡路島観光の切り札に位置付ける
このEV自動車ワイヤレス充電道路は、淡路島への来島者を大きく伸ばす可能性を秘めている。例えば,充電するために必要な受電コイルキットを1000円で貸し出し、島にいる間はワイヤレス充電道路を何回走ってもいいという事にすれば、淡路島観光のコース設定次第では、1000円よりもはるかに高額の充電ができる。考えようによっては、淡路島だけではなく、四国観光も上手に組み込むこともできる。

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