日本酒取材ノート 第1回うんちくを語れるお酒「日本酒」

日本酒というのは不思議なお酒だ。国酒といわれながら、今のように清酒主体になったのは、せいぜい600年から700年前に過ぎない。つい最近までは、原料の米は食事優先で、嗜好品の日本酒はづくりの米は、ご飯用の後回しになっていた。今ほど、酒造好適米を含めて、日本酒用として自由に扱えるようになったのは初めてではないか。
日本酒は、飲むともちろん酔っぱらうが、それでだけではない。宝酒造に取材に行って話をしていて、ある時そんな話になった。その時の広報担当者の思いが「日本酒はうんちくを語れるお酒ではないか」というもの。確かに日本酒は飲むほどに,食べるほどに「ああでもない」「こうでもない」と談論風発、話題が尽きることがない。しかも、たちが悪いのは3人寄れば3人とも微妙に意見が分かれ、それがさらに話に広がりを生む。ワインも同じ構造があるが、いかんせん集まった全員が、ワインに詳しいわけではなく、徐々に話が弾まなくなる。

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