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学校の「当たり前」

 全国的にインフルエンザが大流行しており、学級閉鎖をする学校も増えているようだ。
 これはあまり知られていないことだが、この学級閉鎖の判断基準は全国一律ではないのである。根拠となる学校保健安全法では次のように定められているが、そこに明確な数値等が示されているわけではないのだ。

第四節 感染症の予防
(臨時休業)
第二十条 学校の設置者は、感染症の予防上必要があるときは、臨時に、学校の全部又は一部の休業を行うことができる。

学校保健安全法より

 そのため、設置者である各教育委員会がそれぞれに基準や運用方針を定めることになる。
 たとえば、私が勤めていた横浜市の場合には、インフルエンザ等による欠席者・罹患者が学級の「20%」以上になると、校長が学校医と協議し、学級閉鎖の可否について教育委員会に意見具申をする。その上で、最終的な判断は教育委員会が行うことになっていた。
 しかし、東京都の場合にはこの半分の「10%」が判断基準となっているのだ。

 厚生労働科学研究成果データベースには、各教育委員会がどのような判断基準を設けているのか、その一覧(2010年のもの)が掲載されている。それによると、基準となる欠席者の比率には「10%〜40%」と大きな幅があることがわかる。

 また、クラスの規模にかかわらず、「学級の○名以上」という基準を設けているところも散見される。

 一方、
「学校長の判断」
 と、校長に丸投げをしているようなところもあれば、
「同一集団内での感染が複数以上短期間内に認められた場合、これ以上の学校内での流行を阻止しなければならない状況におかれた時」
 と、まるで議会答弁のような回答をしているところも見られる。

 さらには、
「状況に応じて」
「ケースバイケース」
 という回答もあるが、これらに至っては『笑点』の大喜利で座布団がもらえるかどうかの基準と五十歩百歩だろう。


 日本の学校では、学習指導要領に基づいて全国一律の取組が行われていると言われることがある。しかし、その実態は結構バラバラで、ある地域での「当たり前」が他所でも通じるとはかぎらない。

 そしてそれは、学級閉鎖の基準だけの話ではないのだ。

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