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45歳・教員の「越境学習」 ~日本財団での1年間~(27)

「よそもん」の視点①


 平成18年(2006年)の8月4日(金)~6日(日)に2泊3日で参加した「郷土学セミナー in 戸沢村」も印象に残っている。
 この「郷土学」は、私が所属していた「公益・ボランティア支援グループ」が推進している事業の一つだった。

 当時、少子高齢化や市町村合併などの影響で、中山間地域の自治体の中には、住民間のコミュニケーションが減少し、受け継がれてきた伝統や文化が廃れ、山林や農地が荒れ果ててしまうところが少なくなかった。
 そうした中、平成16年(2004年)に始まった「郷土学」は、昔から地域に受け継がれてきた自然や生活文化、技術などをもう一度見直し、それを地域活性化のために活かそうとする活動である。

 その際に重要となるのは、「よそもん」の視点である。地域の住民にとっては昔ながらの当たり前のことであっても、「よそもん」、つまり部外者の目で見ると魅力的なコトやモノはたくさんあるものだ。まさに岡目八目である。
 実際に、昔から地域に伝わる郷土食を名物料理に、荒れた山林をハイキングのコースに、何年も放置されていた田んぼをドロンコ広場に生まれ変わらせることによって、村へ都会の人々を呼び込むことに成功し、経済的な効果や地域の活発化につながったという事例も少なくない。
 このセミナーの開催地である山形県戸沢村の角川(つのかわ)地区は、そうした取組みを先進的に行っている地域だった。

 8月の戸沢村に集まった「よそもん」たちは、
・環境関連のNPOやボランティア団体の関係者、16名
・地方自治体の職員、5名
・大学関係者、1名
・日本財団の関係者、7名
 の合わせて29名だった。

 このメンバーが4つの班に分かれて、それぞれ地元の方の家に民泊をしながら、フィールドワーク、発表、ディスカッションなどに取り組むことになるのだ。(つづく)

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