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友達申請

 最近、Facebookを通じて大学時代の知人と約40年ぶりに連絡を取ることができた。

 Facebookが他のSNSと違って原則として実名登録であることや、「友達の友達」「友達の友達の友達」などを自動的に紹介してくれる機能があることで、こうした「再会」が可能になっているのだ。

 他にも、
「かつての同僚」
「しばらく前に名刺交換をした人」
「定期的に面白い記事をアップしている人」
 などに「友達申請」のメッセージを送ることで、この歳になっても人と人とのネットワークが広がっていくのは楽しいものである。


 しかし、何事にも光と影はある。

 閉口するのは、見ず知らずの女性からの「友達申請」が頻繁にあることだ。
 若い女性の場合もあれば、「配偶者と死別した」中高年であることもある。また、海外に住んでいる女性が拙い日本語のメッセージを送ってきたりもする。

 そうした中でも代表的なのが、この「井上香織」さんだ。

 私以外の多くの方のところにも、この「井上香織」さんからの「友達申請」が定期的に来るようで、Facebook界隈では有名な方である。

 苗字の「井上」も名前の「香織」も、けっして珍しいものではない。だから、なんとなく知り合いにいそうな気もするのだが、まったく心当たりがない(この「なんとなく知り合いにいそう」だと思わせるネーミングのチョイスが絶妙である)。

 もしも私自身に、
「最近、罠にかかっていた鶴を助けたことがある」
 という経験でもあれば、「恩返し」という可能性も出てくる。
 けれども残念なことに、そうした記憶はない。

 ・・・写真やメッセージに釣られて「友達申請」を承諾してしまうと、
「今度、2人きりで会いましょう」
「遺産を譲りたいので連絡先を教えて」
 などと「頂き女子」に変身する可能性が大だろう。
「触らぬ『井上香織』に祟りなし」
 なのである。

 何度メッセージを削除しても、何度ブロックをしても、この「井上香織」さんは別のアカウントから「友達申請」を送ってくる。
 彼女からのメッセージの末尾は、
「あきらめずに頑張って生きています」
 という言葉で結ばれているが、それを有言実行している点だけは評価をしてあげたいと思う。

 まあ、九分九厘「中の人」はオッサンだと思うけどね。

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