キャリア支援
教職大学院における実務家教員の仕事の一つに、「学卒」の院生に対する「キャリア支援」がある。
平たく言ってしまえば、各自治体が実施する教員採用試験や私学の教員採用の受験に際して、小論文や面接、模擬授業などについての指導・助言を行うことだ。
学部時代に教員採用試験に合格している院生の場合、教職大学院に在学している期間中は採用が猶予になることが多いため、改めて受験をする必要はない。
しかし、そうした院生は全体の半数ほどである。残りの半数は、2年間の在学中に教員採用試験に合格するか、私学の就職口を確保する必要があるのである。
「学卒」の院生の場合、民間企業に就職したり博士課程に進学したりする一握りを除けば、ほぼ全員が教職に就く。
その進路の確保に向けた支援も、実務家教員の大事な役目なのだ。
先日、2年生の「学卒」院生から、
「ご指導、ありがとうございました。おかげさまで進路が決まりました」
という連絡をもらった。
彼は、学部の4年次と教職大学院の1年次に、首都圏にある自治体の中高・社会科の採用試験を受けたものの、合格に至らなかった。
だが、今年度は「三度目の正直」で合格通知を手にすることができた。
しかし、並行して受験していた私立の中高一貫校からも合格の連絡があったため、迷った末に私学へ行くことを決めたのだという。
働く環境のこと、自身の専門性のこと、そして将来のことなどを踏まえて、本人が悩んだ末に出した結論だから、これが正解なのだと思う。
いずれにしても、4月から進む道が決まったのは本当に喜ばしいことだ。
これまでの教員採用試験や就職活動に際しては、悩んだり壁に突き当たったりしたこともあっただろう。
だが、教員として生徒たちと向き合っていくうえでは、そうした経験も大きな財産になるに違いない。
来年4月からの活躍を祈るとともに、残り4か月間の院生生活を一層充実したものにしてほしいと思う。
本当におめでとう!