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アップデートする力
7月7日(日)に投開票が行われた東京都知事選挙で、約15万票を集めて得票5位になった安野貴博氏が注目を集めている。
得票数の4位までは、当選した小池百合子都知事、石丸伸二氏、蓮舫氏、田母神俊雄氏が占めた。
選挙期間中に大手メディアが取り上げたのは、この4氏に絞られており、安野氏が完全に泡沫候補扱いだったことを思えば、これだけの支持を集めたのは驚異的だともいえる。
安野氏がこの選挙で訴えていたのは、
「テクノロジーで誰も取り残さない東京をつくる。デジタル民主主義で明日の希望を持てる東京をつくっていきたい」
ということである。
その言葉は選挙運動でも実践されていた。約100ページに及ぶ安野氏のマニフェストを「学習」したAIが、有権者からの質問や提案を24時間体制で受け付けて、その内容をマニフェストに反映し、アップデートする仕組みを取り入れていたのだ。
選挙期間中、約6800件の質問や提案が寄せられ、安野氏の代行として「AI安野」がそれに対応していたのだ。有権者と候補者とのこうした双方向性や即自的な対応は、これまでの選挙では見られなかったものだ。
もっとも、双方向性や即時性をもった取組というものは、AIに頼らなくても実現できるはずだ。
学校でいうと、子どもや保護者などの声を取り入れて取組をアップデートしていくことは、アナログでも十分に可能である。
たとえば最近だと、夏の厳しい暑さへの対策として、ハーフパンツとポロシャツを「制服」にする学校が出てきているようだ。
生徒からは「涼しい」と歓迎され、他校に通う友人から羨ましがられているらしい。また、男女によるデザインの差がほとんどないため、ジェンダーレスの制服としても受け入れられているようだ。
ただし、これが全国紙のニュースになるということは、こうした取組がまだ「極めて少数派」だからなのだろう。
人間が判断をする場合、その基準のアップデートには時間がかかるようである。それは、AIにはないが人間にはある「前例踏襲」や「横並び」の意識のせいなのかもしれない。
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