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コンピュータは進化したけれど・・・

 前回の記事(「侵略者」は「友達」の顔をして近づいて来る!?)のなかで、高校生の頃に読んだ山田正紀のSF小説『襲撃のメロディ』の一場面を引用した。

 この本の奥付を見ると、出版されたのは昭和53年(1978年)となっている。

『襲撃のメロディ』の「巨大電子頭脳が人類を支配しようとしている」というモチーフ自体は、21世紀の今になっても色褪せてはいない。いや、むしろAIが急速に普及してきたことを実感する2024年だからこそ、リアルに感じられる部分もあるのだ。

 だが、内容以上に私が衝撃を受けたのは、文庫本の表紙に描かれている絵のほうである。

 主人公と一緒に描かれているのは「紙テープ」なのだ!

 フロッピーディスクさえ見たことがないという若者たちのために説明をしておくと、この「紙テープ(情報交換用・紙テープ)」は、コンピュータのプログラムやデータの記録メディアとして、1970年代には重宝されていたのである。

 紙テープには無数の穴が暗号のように並び、それがガガガガッと読み込まれていく光景こそ、「いかにもコンピュータだ」という時代があったのだ。

 高校生のときにこの表紙を見た私は、間違いなく「カッコイイ!」と思ったはずである。ああ、思ったね。思いましたとも。文句あるか!


 そういえば、1968年に公開されたSF映画の古典的名作『2001年宇宙の旅』には、HAL9000というコンピュータが重要な「役」として登場する。

 このHAL9000がバカデカかったのである。宇宙船の中には人間が出入りできる金庫室のような部屋があり、その壁面全体に並んでいたのがHAL9000だったのだ。

 この映画の監修にあたったのは、『幼年期の終わり』などの作品で知られるSF作家のアーサー・C・クラークだった。

 当時は「コンピュータの機能が高度になれば、それに比例して本体も大きくなる」というのが科学界の常識であり、クラークもそれに倣ったのだという。

 科学に造詣の深かったアーサー・C・クラークをもってしても、今日のようなコンピュータの小型化を予見することは不可能だったのだ。


 こうしたコンピュータの進化に改めて着目してみると、
「やっぱり、21世紀ってスゴい!」
 と思える。

 ・・・けれども、最近の「政治家の裏金」や「芸能人のスキャンダル」などのニュースを見てしまうと、
「昭和の時代、いや、下手をすると江戸時代とあまり変わっていないのかも」
 と思ってしまうのだが。

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