入社1年目のときに知っておきたかったこと

来週には桜が咲き、二週間後には大学を卒業して大量の新人が会社員となることを考えて、今日入社1年目、特に新卒で入社した1年目のときに自分自身が知っておきたかったことをまとめようと思います。

僕は、新卒で総合商社に入社、ロンドンに上場している資源金属(主にアルミニウム地金)の現物トレーディングとデリバティブ取引の両方をやっていました。今はうってかわって外資系企業で日用品のマーケティングをやっています。余談ですが、最小ロットが25トン、平均1000トン、みたいなものを売り買いしていた当時から、いまは超特大!っていって600mLとかの商品を売っていると考えると、人生どうなるかわからないものです。

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1. そういえば自分めっちゃ苦労したって話し

先日、商社時代のチームメンバー10人ぐらいで久しぶりにご飯を食べました。で、あれやこれや昔のことを話したり、最近のアップデートをしたりして楽しかったんですが、その中で出た話しが

石井って最初チームの中で浮いてたし、事務職さんからも嫌われてたよね

浮いていたのは認識していたのですが、事務職さんから嫌われてたのは初耳だったので、どうせなら最後まで知りたくなかった。。。

というのはさておき、実際ぼくは1年目の11月ぐらいまで全然チームメンバーともコミュニケーション取らないし、自分らしさみたいなのも出さなかったし、とにかく職場にいるのが苦痛で、来る日も来る日も定時後に同じように腐っている仲間と飲みに行くことしか考えていませんでした。

そんな僕が、今でも覚えているんですが、状況がガラッと変わったきっかけがありました。1年目合宿研修ってのがありまして、銀座にあるトレーニング施設に1年目が2泊3日ぐらいで集まったんです。

おそらく会社側の意図としては、"そろそろ疲れてきた頃だろうからご褒美で休ませてやろうか"的なニュアンスと、"同期の結束を改めて強めよう"っていうニュアンスが強かったと思います。(なので、研修の内容はいたって楽で、みんな二日酔いで朝に起きてこなかったりした記憶もありますね。)

そこで、自己評価をしよう!みたいなセッションがありました。

なにをするかというと、社会人として重要な5−6項目ぐらいに対して、それを自分の自己採点で0−100点で点数を入れるっていう簡単なものです。覚えていませんが、例えば、"論理的思考力"とか"コミュニケーション能力"みたいなのがあって、点数を入れて、最後にペンタゴングラフで出力するっていうものです。

でこの研修で面白かったのが、実際にはこれは自己評価をする為ではなかったのです。裏で自分の指導員(チーム内の先輩で、面倒係になっている人)も同様の評価を僕ら被指導員に対して行なっていて、その点数のギャップを通して自己評価と他者評価の差を見ましょう!というのが本当に意図だったんですね。

指導員評価ー自己評価

を点数化するのですが、ほとんどの人は点数がプラスでした。つまり、みんな謙虚で低く自己評価を入れていて、指導員は同期のことを自己評価よりも良く評価していたのです。日本人的美徳満載です。

で僕はというと、クラスルームにいる50人のなかでダントツにマイナスの点数が高かったんです。自己評価のチャートは、アメリカ国防総省を思わせるよな巨大で綺麗なペンタゴンだったのに対し、僕の指導員が作ったチャートは、もはや中心に打ってある"点"程度のサイズしかなかったのです。

余談ですが、みんなの前で立たされて、このギャップはどこから来ているか発表させられました。それが分かってたらそもそもギャップなんて起きてないと思うんだけど。。。と思いながら、必死に笑いに変えようと思って恥を押し殺しながら喋った記憶があります。

で、この研修の後、この会社生活にもいよいよ限界が来たと思い、指導員と腹を割って話しました。

僕の何がだめなんですか?
チームメンバーが楽しくない!
若者の仕事を先輩が奪っているから若者にいい仕事がないんだ!
本当は〇〇みたいな仕事がしたい!
僕は会社に向いていないんですよ。。。etc...

まぁなかなか思い返すと痛いことも話してたような気がします。

その人はすごくいい人で、上記のような"ダメダメ1年目"の戯言をよく否定もせず聞いてくれました。

そして、僕がやりたいと言っていた仕事をやらせるために、客先に行くときはいつも連れて行ったり、チームメンバーの他の人と仲良くするように飲み会やコーヒーを一緒に誘ってくれたり。実はこの前知りましたが、裏で石井の悩みをチームメンバーにまとめてメールで送ってくれていたりと、本当にいい人に恵まれました。

そんなことを経て、"あーもう無理して社会人っぽいことする必要ないんだ。僕は僕らしくやっていこう!"ってことで、20年間で作り上げた本来通りの、うるさく、主張強く、思っていたら非常識的なことも積極的に発言して行くスタイルに切り替えてからは、"あー石井ってこういうやつなんだ"ってことになって、そこからは楽しく仕事できました。

2. 大事なことは、たったの3つ

さて、自分自身の教訓を踏まえながら、1年目が大事にしなければならないことはだったの3つに集約されると僕は考えています。それは

1. チームに1人以上の相互に信頼できる人を見つけて、安全圏を確保する
2. 自己評価と他者評価のギャップを理解する
3. 自分のキャラクターを変にいじらない。素のままで勝負する。

1. チームに1人以上の相互に信頼できる人を見つけて、安全圏を確保する
チーム内に悩みを相談できる人はいますか?いないのであれば、意図的に、ちゃんと作るべきです。もしチーム内が難しければチーム外でもいないよりマシですが、やはり一緒に日々仕事している中に、何があっても自分の味方でいてくれる人がいるメリットは大きいと思います。

正直、いわゆるコミュニケーション能力が高い人や、人懐っこい人は、放っておいてもこんなこと朝飯前なので、もはや意識する必要がないです。

むしろ、コツコツ努力するのは得意だけどコミュニケーションは自信ない人、外向的ではない人、こそ最初は苦しくても意図的にまず1人の味方作りから始めてください。その1人が、さらに1人2人と自分に味方を連れて来てくれて、どんどん職場が安全度を増していきます。

子供も、親という無条件でなんでも許して愛してくれる存在がいるから自由闊達にいろいろやって育つわけです。大人なので"無条件に"とはいきませんが、こちらから"条件付き"で許してくれる相手を見つけましょう。

2. 自己評価と他者評価のギャップを理解する
これは先程の僕の例で出ているのと似ています。できれば、信頼関係が出来ている状態で、このギャップの認識合わせをしてほしいと思います。

例えば、1年目が上司を恐れているように、実は上司も1年目のことを同じか、それ以上に恐れています。傷つけたらどうしよう、これで会社これなくなったら。。。とか、自己保身半分、ほんとうに本人のことを気遣う半分で混ざっていますが、少なくともコミュニケーションに相当な気を使っていることは間違いありません。

なので、信頼関係がない状態でFeedbackをくれと言っても、体裁のいい適当なことを言ってはぐらかされるか、もしくは本当にズバッと切り込まれて多いに傷つくかのどちらかになることが多いと思います。

それをきっかけに腹を割って話せるということもあるかもしれないので止めはしませんが、僕は個人的には気が進みません。

なので、先程いった1人目の味方の方から、評価のギャップの理解をはじめて、それを踏まえて上司と話したり、チーム内の人とギャップを埋めて行くのをお勧めします。

今の会社では"Perception Is Everything"って良く言われます。つまり、人からどう思われているかが全てで、自分がどう考えているかは関係ない、ってことです。

個人的には、この発想は強者が弱者をいじめる都合の良い思想になり得ると思っているので積極的に使うことはありませんが、しかし本質的には間違っていないでしょう。他者が自分をどう見ているのか、正しく把握するのは決して無駄ではないと思います。

3. 自分のキャラクターを変にいじらない。素のままで勝負する。
あなたのそのキャラクターは、20数年間で身につけた、あなたに一番しっくり来ているコミュニケーションの型なはずです。なので、それをいじくると、あまりいいことがありません。慣れていない下手くそな型でコミュニケーションするわけだからどこか面白くないし、うそっぽさは毎日一緒に働いていればいずれバレバレです。

なにより、自分らしくいないこと、はものすごいストレスだと認識するべきです。そして、そういう言語化出来ないストレスを日々抱えるのは、想像以上に心にとって不健康なことになります。

やかましいやつは結局やかましいんです。むしろ、"うるさい"と言われたことを気にして静かにやろうとすると、その裏にあった"元気"という長所もなくなって、なんの特徴もないつまらない人になります。

あと、優秀な人ほど、人のコミュニケーションの特徴をとやかく言いません。あなたが"何"を言っているのかの中身を見てくれます。"どのように"コミュニケーションしているかという表層の部分にしか口出し出来ないひとは、中身を見抜く力がないくせにとにかく人にはいちゃもんをつけておきたいマウント系である可能性が高いです。その場合、いずれにせよよしなに流しておけばいいのです。(そして、その手の人間はゴマンといるので気をつけてください。)

3. 1年目は、実は成果が出るか出ないかなんてあんまり関係ない話し

最後に、肝心の業務面に関してもちょっとだけ触れようと思います。

結論からいうと、成果が出るか出ないかは、あんまり関係がないと思っています。

誤解して欲しくないのは、成果を出そうと思って頑張るのはいいことだと思いますし、成果なんかいらないからさぼってしまえ、というのを推奨しているわけではありません。

でも、それでも、およそほとんどの会社の1年目の業務では成果は関係ないと思っていて、それは以下の理由になります。

・いまやったことが、すぐに成果として現れるような仕事は限られている

保険や証券の飛び込み営業なら話しは別です。おそらくDay 1から明確に成果として違いが現れるでしょう。

でも、ほとんどの仕事は、今日やったことが明日結果として出てくるわけではありません。今年いっぱいかけて仕込んだ種を、大きく育てて来年以降収穫する、という方が全然多いわけです。準備無くして結果は出ないというのは、冷静に考えれば当たり前の話しです。

今の会社では、そういった背景もあって、入社1年目の評価は一律一定となっています。その代わり、2年目からは成果を競いましょうよと。

自分の同期がどんな仕事しているかとか、自分はまだ海外出張してないのにあいつはもう何回もしているーー、みたいな話題ってどこの会社でもあります。なんなら、他社で働いている同期と比べてしまうときもあるしれません。それで、"やばい、会社選びミスった。。。"とか思う人もいるでしょう。

でもそれは全く気にする必要がないことです。チームや会社が変われば方針も仕事内容も全然違うわけですから。実際、前職の時真っ先に海外出張にいって自称いけてる1年目だった同期くんは、蓋を開けたら実は全然評価されてなかった、なんて話しはざらにあって、今となっては笑い話しです。

重要なのは、1年目に、自分が安全に自分のスタイルを確立出来る素地を作ることで、それができればそこからの業務のパフォーマンスも上がるし、ストレスも低いものになると信じています。

それでは!

石井


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