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トンネルの中の貴方へ


先が見えない不安な状態を「トンネルから抜け出せない」と表現しますよね。





これは私はとある大学生のツイートを読んだ時

その子が過去の自分と同じ事を恐れ、不安に感じている事

そして、今の私がその悩みを「些細な事」と感じているのに気付き

トンネルを抜けると、中の事は忘れてしまうのだなと思い

今私が居るトンネルの事を記録しておきたくて書く備忘録です。



そして、同じトンネルの中で迷う人に向けてのお手紙でもあります。



●「かもしれないトンネル」の中の大学生



「大学に入り友人に初めての恋人が出来て、祝福しなければならないのに喜べない」

「自分より先に内定が貰えた友人のSNSを見るのが辛くてブロックしてしまった」

という投稿を目にしました。



月並みな言葉ですが「気持ちは分かる」



そしてこの行動は

もしかしたら、自分はこれから先誰からも愛されないのかも知れない

もしかしたら、自分だけ仕事が決まらないかも知れない

という漠然とした「かもしれない」から来るものだというのも経験から知っています。



一人でも恋人が出来たり

一社でも受かれば

その不安は消え去りトンネルをあっさり抜け出せます。



私は彼らより少しだけ人生の先輩だから

彼らが今向き合っている「恋愛」「就職」という問題に対して

「恋人なんて選り好みさえしなければあっさり出来る」

「仕事なんて意外とどうにでもなる」と知っています。





そして「今上手く行っている人だって、明日急に病気になって恋人も仕事も全て失う事も結構ある」という事まで知っているから

「あ~分かる分かるその段階って焦るよねぇ〜」くらいの微笑ましい気持ちでその投稿を読んでいました。

でも、それは私がそのトンネルを抜け切った所にいるからでしょう。



●「婚活トンネル」を抜けた人

この人は結婚出来ないことが恥ずかしいと頻りに言っていて

婚活トンネルから少しでも早く抜け出したかったのでしょう



4、5回しか会ってない人と婚約して婚活トンネルから脱出していきました。



すると彼女はトンネルの出口に足を掛けた側の人間として

「この歳で何年も彼氏が居なくてよく平気だったよね。あの時の私メンタル強すぎ」などと

トンネルの中に居た時の自分自身を憐れみ貶す発言をするようになりました。



彼女は自分の気持ちを吐露しただけだけど

トンネルを抜けた人の言葉は、そのトンネルで迷っている他の人を予想外に傷付ける事もあるのだと思いました。



でも彼女もまだ婚活トンネルから完全に出られたとは言えないし

今度は次の「結婚トンネル」の入り口が見えてきっと不安なのでしょう。



やっと長いトンネルが終わったのに

また次のトンネルが現れた事への小さな絶望もあるのかも知れません。



●「妊活トンネル」

私の周りには二組の妊活トンネルに居る夫婦が居ました。



一組はずっと周りの友達から子供が居ない事で差別され

「子供が居なければ独身と変わらないじゃない」と既婚である事すら否定されたり

子供が居ない事を理由に遊びに誘われないなどの嫌がらせを受けて

泣いて居た事もありました。

ですが、先日この夫婦の間に子供が産まれ

私はこの夫婦が「トンネルの中に居る時」を知って居るから本当に嬉しかったし

抜け出せて良かったと心から思いました。




もう一組の「妊活トンネル」の人は

友人の結婚式会場で未婚の人を「未婚者」と呼びバカにする発言をしていた同級生でした。

彼女は8年以上不妊で悩んでいるそうです。



お世辞にも性格が良いとは言えない子なので

きっと私たち同級生以外の人も沢山馬鹿にして生きて来たことでしょう。

でも、恋人→同棲→結婚→妊娠→出産→子育てをステップアップとした時

彼女は結婚止まりと言われてしまうのではないでしょうか?

そして今まで馬鹿にして来た人たちにあっさり追い抜かれても居るでしょう。



一組目の夫婦が言われた様に「子供が居なければ独身と変わらないじゃない」とも

言われたりもするでしょう

でもそれを想像した時に、彼女の未婚者への発言は次のトンネルへ向かう事が許されない事からくるストレス故の発言だったのでは思っています。



前へ向かうトンネルが閉ざされて、文句を言いたくても言えないから

後ろに向かって唾を吐きかけたかったのでしょう



トンネルとは

迷って出口が見付からない人も居れば

次に向かうのが怖くて立ち止まる人も居る

次に向かう事が許されずストレスに感じる人も居る

そういうものなのだと思います。



●トンネルの途中の人

私の知人に高収入の公務員で独身の40代女性が居ます。

安定しやり甲斐のある人に感謝される仕事を天職とし、親子関係も良好で

毎年長期の休みには同じく独身の友達数名と気ままに海外旅行を楽しんでいます。



私の目にはなんていい人生なのだろう…と羨ましく映っていましたが

こんな彼女の事も、結婚してないからという理由で「負け組」扱いする人も居ます。

確かに、婚活トンネルから抜け出せなかった人ではあるのかも知れません。

表現するのなら「トンネルの中で快適な生活を始めた人」なのでしょう。



そもそもトンネルってそんな悪いものでしょうか?

雨風凌げるし、紫外線も防げる、反響するから歌を歌えば上手く聞こえるでしょう

トンネルとトンネルの間で立ち止まるか、トンネルの中で快適に暮らすのか

それはそんなに大きな差でしょうか?




●様々なトンネルの人々を見て



きっとこの人生の「トンネル」は永遠に続くのでしょう。

私が全然見えていないトンネルもまだまだあって



就職したってその会社が自分に合っているのかどうか

上司がまともな人かどうか

同僚が良い人かどうか

先輩は怖くないか



恋人が出来ても結婚出来るかどうか

結婚しても安定した生活が出来るかどうか

相手の家族が良い人か

旦那は病気や浮気をしないか



妊娠したって産まれてくるまでずっと不安だし

その子の将来を案じ、多分死ぬまで不安と心配を感じる事でしょう

ママ友なんて形で人間関係をより複雑になったりしますよね

もっと年齢を重ねれば死への不安も明確出て来るでしょう。



きっとこの比喩表現のトンネルも本物のトンネルと同じように

抜けてもまた次のトンネルの入り口が見えるだけ



本当の意味の出口なんて存在しないのです。



でも一度抜け出してしまえば、苦労して通過したトンネルの事なんて

綺麗に忘れてしまうし

トンネルを通過する事を応援してもらえる人も居ればそうでない人も居る

進む事を拒む人も居れば、進む事を許され人も居る

トンネルの中に居続ける事を選ぶ人も居るのです



●通り過ぎたトンネルと次のトンネル

私は子供の頃にサザエさんのカツオが学校で怒られて居るのを見て

カツオと同じ4年生になるのすら怖かったのを覚えて居ます。

中学校に上がると先輩が怖くなると聞いて怖かったし、就職も転職も毎回怖かった



でも全て入ってみたらどうって事無かったのです。

絶対入らなきゃ行けないトンネルに過剰に怖がるのも無駄だし

入らなくて良いトンネルにわざわざ入るのも無駄です。



人生がずっもトンネル続きなのであれば
私達の人生はトンネルの中に居るか
トンネルとトンネルの間に居るかの違いです。

トンネルの間に居る人は光が刺して輝いて見える人だって

次のトンネルの入り口が見えて躊躇ってそこに留まっているだけかも知れない



そう思うと、世界の見え方が少し変わりました。




●婚活トンネルの中に居る人へ

私も同じトンネルの中に居ます、多分横並びのご近所トンネルですかね?こんにちは。

ちょっと壁があるので顔が見えませんが…



トンネルの中に居る人同士はお互いが見えません

だから孤独に見えるかも知れませんが

今の私には確実に貴方の気持ちが分かります。



抜け出した人が、「いや〜私もそのトンネル大変だったよ〜」と言われても

「でもあんたは通過してるじゃん‼」と、なりますよね?





婚活トンネルの中に居るというだけで

好きな物を好きと言う事さえ「結婚もしてない癖にまだこんな物が好きなの!?」と言われそうで言えなくなっちゃったりしますよね。



何も悪くないし、結構ちゃんと生きているのに漠然と惨めになっちゃったりしますよね。



他人のちょっとした自慢に、適当な相槌打つのすらしんどくなる日もありますよね。



芸能人やそんな親しくない人の結婚にすら謎の「先越された感」を感じる事もありますよね。



私か貴方のどちらかが何かの弾みであっさりトンネルを抜け出す日が来るかも知れません。

きっぱり諦めて引き返して婚活トンネルの入り口をガッチリ埋めて二度と立ち入らなくなるかも知れません。

そうなれば声が届かなくなるかもしれないけれど

今日の私は絶対に貴方の気持ちがわかります



貴方は孤独じゃないなんて言いません

私も貴方も孤独です

寂しいね。



今日よりもっと寂しい日が来るかも知れないけど

その時は同じくらい寂しい私を思い出してね

思い出してくれたら私は少し寂しくなくなるよ



そして私を孤独から救える自分を誇ってね。

貴方は凄いよ。