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おうちまで歩いて帰りました。

 お金が無いので、電車に乗ることができず、学校から、おうちまで歩いて帰った。

 街中で気になったものを撮って帰ろうと思った。


面白い食パン屋

 しばらく歩いていたら、ネーミングセンスが、とても面白い食パン屋を見つけた。本当にあるんだ、と思って、ウキウキで写真を撮ってしまった。

 あまりの面白さに、一人で路肩で、腹を抱えて笑っていた。酸欠になるくらい歩道で笑い転げて、私なら絶対にこの店でパンなんて買えないな、と思った。なぜなら、私と違って、ここは、面白い食パン屋だから。



ガキの靴、消火器

 住宅街を練り歩いていたら、消火器があって、その上に何か置いてあった。よく見ると、ガキの靴だった。たぶん、親御さんに担がれたり、自転車に乗せられたりした拍子に、靴が脱げ落ちちゃったんだろうな、と思った。

 それを拾って、親御さんが見つけやすいように消火器の上に乗せてくれた優しい人が居るんだな、と思うと、もうちょっとだけ、この街で人生を生きてもいいかな、と思えるようになった。


正面からガキの靴

 写真のことは分からないけど、美しく、良い構図だな、と思った。



変な犬の絵

 目がキマってる変な犬の絵があって、思わず撮ってしまった。そりゃあ、こんな犬は、園内とか園外とか分からずに糞尿を垂れ流してしまうだろ、と思ってしまった。

 胴体と尻尾に比べて、頭がデカすぎる。案外、脳みそが詰まってる、知的な犬なのかもしれない。

 いつか、赤い文字が陽に焼かれて色褪せて、「  に を れないで下さい」になるんだろうな、と思って、ワクワクした。その日が来るのが、待ち遠しいぜ。



暗い道

 杉並区って、こういうよく分かんねえ、真っ直ぐな歩道?が、よくある。川を、そのまま埋め立てたような歩道で、私が東京に来てから、「東京っぽいなあ」と思ったものの、一つである。

 方向音痴なので、地図のアプリをチラチラ見ながら帰ったんだけど、この歩道だけ変わった感じで表示されてて気になった。



不自然なほど、真っ直ぐ、すぎる。

 なんか調べてみたら、桃園川緑道というものらしい。やっぱり元は、桃園川という川が流れていたみたいだけど、埋め立てたわけではなく、暗渠化(水路を地下に隠してしまうこと。初めて聞いた)したらしい。

 暗渠の生まれた経緯には、関東大震災で生じた瓦礫や、戦後の人口増加などが関係してるらしくて、やっぱり東京ならでは理由があったのか、と思って感心した。

 なんか川を完全に埋め立てるわけじゃなくて、見えなくするって、いいな、と思った。もっと色々な、東京都内の暗渠を巡ってみたいと思った。



 帰宅。歩いて帰るのも悪くない、どころか、歩いて帰る方がいいな、と思った。電車代を浮かせた分でお酒を一本(下手したら二本)飲めることに気づいて、これからも体力に余裕があったら、歩こうと思った。





小林優希

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