整備済みM2 MacBook Air 15インチを
ここしばらくMac miniをメインマシンとして利用してきました。コスパ最高、パワーも申し分ないMac miniでしたが、「持ち歩けない」という最大の弱点があったのです。
Mac miniは持ち歩きにくかった
……お前は何を当たり前のことを言ってるんだ? と言われそうな話ですが、実は私はこの本体重量1.3KgのMac miniを持ち歩くつもりでした。実際、何度か持ち歩いて使ってもいます。
ディスプレイとしてiPadを、キーボードとマウスはApple純正のものを持ち歩けば、「デモなどに持ち歩け……なくもない」という、とんち小坊主みたいなモバイルセットの出来上がり。
ただねー、実際にねー、持ち歩くとねー、いろいろ実際に困ることがありましたよ。
なんといっても、セットアップと撤収に時間がかかるのが大変。また、帰宅してからケーブルを繋ぎ直していろいろ確認するのがかったるすぎです。あと、話がいきなり「電源貸してください」というところから始まるわけで、かなり肩身が狭い思いをしました。電源が取れない場所では打ち合わせもできないわけで、これも大きなマイナスです。
知り合いでMac miniを持ち歩いている人もいるのですが、機材を自動車で持ち歩いており、割と腰をすえて作業を行っています。迅速な展開と迅速な撤収とかいう話ではないわけです。おまけに、モバイルMac miniはモバイル専用機材とのことでした(帰宅後にケーブルの繋ぎ直しをしなくていい、という)。
「モバイルMac mini計画」は、たしかに仕様的には(重量とか)大丈夫なんだけど、ちょっと打ち合わせをしてあいさつして切り上げるといった機動的な運用にはまったく合っていなかったのでした。残念!
いろいろお安く買う算段を
しばらくモバイル機器については金銭的な余裕がなかったので、計画は棚上げになっていました。
自分は別に新品でなくても、Apple Silicon世代であれば十分で、画面もRetina Displayになっていればプログラムの検証には十分であるため、新品や新製品へのこだわりはありません。ただ、RAM 8GBのモデルは勘弁してほしいですし、SSDが256GBの構成も「ナイスジョーク」だと思っています。
さて、中古市場を調べると、けっこうこの「勘弁してほしいコンフィグレーションのセット」(愛称:不幸の詰め合わせセット)ばかりで勘弁してほしいところです。
ただ、M1世代は避けたいと思っていました。すでに、メインマシンのM1 Mac miniがあるので、M1世代のマシンを買うと、同時にmacOSのメジャーアップデート時の足切りにひっかかる可能性があり、世代はズラしておきたかったのです(Mac miniって、かつてはアップデート間隔が4年ぐらい空いていたことがあるので、割とメーカー側も気を使って足切り基準の中では長めだったが、最近はどうなるか)。
一時はジモティーなど怪しげな場所でも情報収集して、お安く買えないかと調査。ただ、やっぱり見ず知らずの個人との間での売買は、オークションサイトよりもはるかに不安がつのります。何回か売買を経験して、いろいろ失敗したり成功したりして、経験を積み上げた上で利用するならよいのですが、いきなりMacBookの売買を行うのは、「無理」と判断。
整備済み製品プロジェクト1〜Air 15インチ M3
かくして、Appleの整備済み製品コーナーを巡回する日々がはじまります。
整備済み製品は、ユーザーが修理に出すさいの「代替機」をメーカー側が出せないものの、「修理中に1台買ってくれれば返品で全額返しますよ」というパチンコの3店方式みたいな、いびつな仕組みが生んだ「返却新古品の廉価販売」のシステムです。
いつもモノがあるとはかぎりませんが、新品で買うよりもお買い得なので、多くの人が注目しています。
そこに、現行機種であるMacBook Air M3の15インチモデルが、RAM 16GB、SSD 512GBという「日常的な作業にMacを使っているユーザーの下限値」ともいえる(ギリギリ実用的な)構成で出ていました。お値段も、不可能な額ではありません。しかも、いままで「欲しい」と思っていたボディカラーの「ミッドナイト」機体。
ただ、いろいろ悩んでいるうちに売れてしまいました。残念なことです。
整備済み製品プロジェクト2〜Air 15インチ M2
悩んでいたのは、「そもそもM3の必要はないのでは?」と考えたためです。
別に性能的にはM1で十分ですし、持ち歩ければそれでよかったのです。さらに、M3は動作クロックを向上させた分で高性能化を図っており、ファンレスのMacBook Airではサーマルスロットリングによる性能低下が日常的に発生しやすいのでは? と、疑っていました。
本当は「買うならM4世代」と思っていたのですが、どうもまだ半年以上は出てきそうにありません。
実際に、M2とM3の性能差はベンチマーク結果を見ると20%も違っていないですし、実際にさわってみると、「差」を体感できるほどではないでしょう。
かくして、「M2モデルに目を向ければ、もっとお安い構成が……」というところで迷ってしまったんですね。
迷っている間にM3の整備済み製品が売れてしまったので、次に会ったらゲットしようと決意を固めていたところに、M2のRAM 16GB、SSD 1TBモデルが、M3機とほぼ同じぐらいの値段で出てきました。この構成だと、メインのM1 Mac miniの内容をそのまま持ち出せます。
かくして、これを購入。なかなかいい買い物ができました。
M2 MacBook Air 15インチは、期待の3倍よかった
黒いボディのMacBook Air 15インチは、期待していたよりもはるかにいいマシンでした。
アルミの銀のボディに飽き飽きしていたし、黒いマシンの方が存在が気にならなくてよいだろう、と(じゃあなんでお前Mac使ってるんだよ? 的な)。とにかく、黒いMacが欲しかったので、好感触でした。
ちなみに、事前に店頭で現物は確認していません。どうせMacなんでこんなもんだろうと。
スピードは、ちょっと前にM2 Mac miniが開発機として手元に来ていたので、そちらで詳細なベンチマークを計ってありました。M1にくらべて10%速いぐらいだな、という処理が多数ありつつ、たまーにM1より2倍ぐらい速い処理もあって腰が抜けましたが、「だいたいこんなもん」だと実感できました。
M2 Airの画面は想像よりも「色味」がよく、これは新品ならでは、でしょうか。
キーボードも一時期の悪名高いMacBook Proのバタフライ構造キーボードから見直しが行われたものが採用されており、「2012年のMacBook Pro Retinaみたい」だと感じます。これは、かなりの褒め言葉です。
一番期待を上回っていたのが、「音」。正直期待していなかったのですが、11インチMacBook Airのキーボードの下に配置されていた「残念スピーカー」からは隔世の感があります。
スピードも速くて、画面も広くて、スピーカーもいいという「安かろう、悪かろう」モデルだったころのMacBook Airとは別物です。これは、MacBook Pro 2012 Retinaの強化・廉価版です。
このマシンで困るのは、何も大したことはしていないのに、「なにかすごいことをやってしまったのではないか」という錯覚に陥ることです。スピーカーの音がいいだけで、ここまで満足感が上がるというのは新発見です。
逆に「思ったよりもたいしたことがない」と感じたのがバッテリー寿命。自分が本気でAppleScriptでアプリを動かして処理したり、ゲームを動かすと、半日はもたない感じがします(とくに各種エミュレータ上でゲームを動かすとバッテリーの減りがすごい)。これは、YouTuber様方や雑誌のレビューワー様方とも、みんな誇張のしすぎです。彼らが出している数値の半分ぐらいで見ておくとよいでしょう。
また、Touch IDもパスワード入力のときに常時利用できるのかと思いきや、パスワード入力が必要な場所が半分ぐらいあったりして、期待はずれです(それでも、ないよりははるかにいい)。
重さもこんなもんだとは思いますが、これより重かったらちょっと持ち歩きが辛いでしょう。重さが原因で15インチよりも13インチを選ぶ人も多そうです(整備済み製品の売れ行きを見ていると、どうも13インチのほうが人気機種のようで)。
ボディの厚みは、このぐらい薄ければ大満足。MacBook Air 11インチのボトムケースの厚み、それがMacBook Air M2を閉じたときの厚みと同じです。つまり、アホみたいに薄いはずなんですが、ボディの剛性があるため、ボディがたわむといったことはありません。
ポート数が少ないことについては、USBメモリやゲーム用のジョイパッドをつなげるのに、いちいちThunderbolt Hubをつながなくてはならないので、そのあたりは良し悪しです。それでも、ヘッドフォン端子が残っていることは高く評価されるべきでしょう。
環境構築については、M1 Mac miniをバックアップしてあるTime Machine HDDから読み込んだだけなので、とくにそれらしいことはしていません。
各種ベンチマークは、いろいろ作業を片付けたぐらいでやってみようかと。本当は、M3機と並べて比較が行えるとよいのですが……。なんか、音楽流しているとそれだけで満足してしまうので、ヤバイです。